鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「牧場OL」1

紙版、電子版とも2016年2月5日刊。絵柄はあらゐけいいちと同系列。最近の流行ではない気がするが、自分はこのタイプの絵は好感度が高いため、思い切って買ってみたが、内容も悪くはなかった。

牧場で働く女性社員を描いたもので、第一次産業に焦点を当てたビジネスもの。同傾向の作品として「ハナヨメ未満」、「銀の匙」(実写映画は見たが原作は未読)や映画「WOOD JOB! ~神去なあなあ日常~」などが思い浮かぶ。この分野の作品は少ないが、もっと増えるといいと思う。

主人公・野花南はイタドリ食品に入社。本社は都心の一等地にあり、仕事に遊びに恋に……はなやかな都会生活が始まることを楽しみにしていたが、配属先は北海道で畜産農家の手伝いだった――

というところから始まる、野花南の奮闘記である。恋バナもなくはなく、ビジネスものの側面もなくはないが、基本的には畜産農家の仕事ぶり(問題点も含めて)を紹介する作品になっている。原作者もついていないようだが、畜産農家の仕事にかなり詳しい(ように見受けられる)。

基本的にユーモラスで、登場人物の顔立ちは幼いが、女性キャラは意外に色気もある。厭な人は出て来ず厭な事件も起きないので、好感度高く読み進められる。ハルカが南の敵役になるのかと思ったが、なんだかんだで可愛らしく、むしろ南の友だちの一人という位置づけだろう。作者の人柄の良さが反映されているように思う。

なお、物語冒頭で、北海道への配属を言い渡す人(人事の人?)が、なぜ自分がこの業務に配属になったのかを問う南に対し、「さあ?」「細かいことは現地で聞いてくれ」と説明しているが、いくらなんでもこれはない。南の業務目的(農業のノウハウを身につけることなのか、農家とのパイプを太くすることなのか、など)を明確にし、かつ、南に命じる理由(これが務まるのは君しかいない! など)を説明しなければダメではないか。南は目的意識をもって働けないでいるが、それは本人ではなく会社の責任だと思う。

登場人物

野花南 22 イタドリ食品の新人OL
糸魚沢 南より年上 イタドリ食品、南の先輩
鹿谷 南より年上 初田牧場
初田牛蔵 大人 初田牧場の社長
社長の奥さん 大人 -
? ? 社長の飼い犬
スアン 南と同世代 ベトナムからの実習生
鷲巣 大人 牧場経営者
鷲巣ハルカ 南と同世代 鷲巣の娘
鹿谷の父 大人 町役場観光課


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