鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「ガラスの仮面」1

ガラスの仮面 1

ガラスの仮面 1

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今さら説明するまでもない超有名作品。これまで読んだことがなく、読もうとも思わなかったが、最近朝ドラに登場し、それに伴ってこれがどれほど面白い作品であるかを語る人が身近に急増し、それなら読んでみようかと一巻を購入。

一話を読んだ段階でもうやめようかと思ったが、一応最後まで読む。

重たい岡持を持って配達しているマヤの足が踊るように伸びているところとか、初登場の速水真澄がただ立っているだけなのに思い切り腰をくねられてポーズを取っているとか、少女漫画的には「あり」なのかも知れないが、ちょっと自分には合わない。

また、冒頭で中学生のマヤが中華料理屋で配達などをさせられ、大晦日などは深夜0時を過ぎるまで働かされるが、戦前戦中ならともかく、(連載開始の)1975年とするなら完全に児童福祉法違反でアウト。

また、月影千草の作った劇団にマヤが親の許可を取ったと嘘をいって入団したあと、母親が取り返しにくるシーンがある。「おまえみたいななんのとりえもない娘が女優になんかなれるものか」という母親に「この子をなんのとりえもない子にしてしまっているのはあなたです」とピシャリと言うのはカッコよかったが、「この子をあたなのもとへは帰しません」はいけない。本人がいくら希望しても子供の言うこと。親権を持つ親の意向を無視して匿ったら監禁・誘拐だよ……。ここは意を尽くして説得すべき場面なのである。

とまあ、ツッコミどころが満載なのであるが、とにかく第一話で、マヤは芝居が好きでのめり込んでいるが、家が貧しく、仕事もしないといけなくて、なかなか好きなことに没頭することができない。が、ドラマの物まねをしているところを見た月影がマヤの才能を見抜く。第二話で姫川亜弓が登場。美貌と才能とお金とコネを併せ持つ。彼女がマヤの生涯のライバルになることは自分でも知っているが、この時点での亜弓はマヤとは別世界の人であることが示される。第三話で学芸会に出演することになったマヤは月影の指導を受け、周囲の人を驚愕させる演技を披露する……と、話の作りはうまい。長編作品の教科書にしてもいいほどだ。

亜弓は恵まれた立場ではあるが、彼女は親の七光りでチヤホヤされて満足する人間ではなく、名女優と言われた母親を超える女優になりたいと必死である。「カムカムエヴリバディ」でこの作品が取り上げられたのは、これがある故か?



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