- 田村由美「ミステリと言う勿れ」6(フラワーコミックスアルファ)
エピソード9(焼肉屋事件)は短いエピソードだが、今のところ一番好きな話だ。ライカは話をする時頻繁に自省録を利用した暗号を使う。その意図は不明だが、今回に限りそれが非常に効果的に使われたこと。それから、整くんの初デート。本人は盛んに(何度も)否定してるが、デート以外の何ものでもないよ整くん……。
エピソード2.5は時系列がややこしい。エピソード2の直後で、整くんがエピソード4にてこずっている頃のこと。エピソード6(牛田刑事とのやりとり)の前だ。だから、エピソード6を通じてわれわれ読者が知り得たことを、登場人物たちはまだ知らない。整くんは広島にいて、謎解きには関与していない。その代わり、ガロやハヤ、オトヤなどが活躍(?)する。ここでは、次のシーンが印象に残る。寄木細工の月岡のところにガロが話を聞きに行った時のこと。
「姉のことが、好きでした?」
「はい」
「姉も、あなたが好きだった」
「そう、信じています」
「ありがとう。姉にも幸せな時がありましたか。ありましたか……」
エピソード2で愛珠を殺した人物は判明。が、普段はタクシーを使う愛珠が、この日に限ってなぜバスを使ったのかがわからなかった。エピソード2.5で、愛珠は死にたいと思っていたこと、緩慢な自殺として持病の薬を飲むのをやめたこと、ジュートに殺してもらおうと思ってバスに乗ったことが判明。
が、そもそもなぜ死のうと思ったのか、誰かに誘導された可能性があるとすると、それは誰か。連続殺人事件の謎は解けたが、いまだ愛珠の謎は解けない。