鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「ボディガード牙」4

2022年4月7日kindle版刊。「東京スパイ伏魔殿」「狂ったハレム」の二編所収。「週刊サンケイ」での掲載は、前者が1973年10月~11月、後者は1973年2月~3月掲載。

「東京スパイ伏魔殿」クライマックスは、複数のハイジャック犯 vs 牙直人。ハイジャック犯はいずれも空手・拳法の達人である。飛行機に乗る際に武器は厳しくチェックするが、空手・拳法の達人が複数組めば、素手でも飛行機を制圧できるとの見解は興味深い。なお手榴弾は普通の人が簡単に入手できるものではあるまいに、牙はどうして所持できたのかは疑問。

「狂ったハレム」大物デザイナーがモデルを手籠めにし、それを苦にして自殺するところから物語が始まる。意に添わぬ性交を強要されたというだけで十分自殺の理由になるし、物語としてはそれで十分と思うが、変態性交を念入りに描くところが梶原一騎の悪いところだ。救いは、牙が一切加担しないところ。のちの物語を考えると信じられないが、本シリーズでは牙が実に清廉潔癖・謹厳実直・石部金吉に描かれている。クライマックスはサファーデの達人との対決。オチは、他のモデルは身体を提供する代わりにチャンスをくれるデザイナーについていくというもの。現代でもそうだが、そういうことを嫌がらない人もいるのだから、嫌がる人に強要してはイカンよな。



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