鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

またしても生殺し「彩香ちゃんは弘子先輩に恋してる」2(新刊)

  • Sal Jiang「彩香ちゃんは弘子先輩に恋してる」2(アクションコミックス)

2021年7月21日刊。

漫画やドラマの話の終わりで、次回に続く「引き」で終わるものは多く、え、このあとどうなるの? と気になるものだが、数多い「引き」の中でも、本作一巻の終わりほど次が気になるものはなかった、と言いたいくらい続きが気になった。

待つこと三週間、ようやく二巻が発売され、続きを読むことができたわけだが、この二巻の終わりも、負けず劣らず続きが気になる終わり方。しかも、三巻の発売は来春予定だという。待てるのだろうか……。

恋愛というのは難しいものだ。好きな人から好かれるとは限らない。好きでない人から好かれることもある。「好きでない人」が「嫌いな人」のこともあるが、「とても好きで、尊敬も信頼もしているけれど、恋愛感情は持てない」ということもある。晴れて両想いになっても長続きせず、気持ちが離れることも、離れられることもある。

これに加えて、同性愛の場合はさらに厳しい条件が重なる。この作品は、こうした切ない恋愛感情と、GLの社会的な立ち位置をうまく溶け込ませていると思う。

つい最近までGL漫画など読んだことがなかったが、先月、Sal Jiangの「SAL」を読んで以来、精力的に(?)いろいろ読んでいる。それは、一回購入すると、Amazonが気を利かせて「これも読んでみたら?」と次々に同傾向の本を紹介してくるからだが。で、少しわかってきたのは、同じ同性愛でも、男性よりも女性の方がより大変なのではないかということだ。それは、社会の中で、特に会社の中で、多くの場合女性が圧倒的弱者だからだ。

本作は、これに加えて「オフィスラブ」という足枷もある。職場の仲間というのは、長時間一緒にいるから愛着も沸くし、同じ目標に向かって協力するから連帯感も持つ。ちょっとしたことで恋に落ちてしまうのはよくわかる。が、諸刃の剣でもある。妙に仲が良くても、気まずくなっても、周囲に与える影響力が甚大だからだ。これからの二人(理佐も含めて三人)がどうなるか、いよいよ気になる。

「彩香ちゃんは弘子先輩を落としたい」は本作の分冊版らしい。タイトルを変えるのは紛らわしいのでやめてほしい。



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