鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「私の秘密を教えてあげる」

オリジナルは2019年2月17日刊。kindle版は2020年3月6日刊。表紙などを含め、全32ページ。「退職届はポケットの中」に続く作品。

雨宮は中堅証券会社のセールスレディ。この三年間ずっと全社一位の成績を上げ続けている。明智は、その技を見習うべく営業同行させてほしいと雨宮に頼む。OKした雨宮は明智を連れ、とある個人宅を訪問。明智を紹介したところで、これから大事な話があるから、あなたは駅前のカフェで待っているように言い、家から追い出す。ここからが大事なのにと不審に思った明智は、窓から覗くと、二人がキスする様子が見えた。そのことを問い詰める明智に、私の秘密を教えてあげようか? と微笑みかけた雨宮は、明智を自分の部屋に連れ込む……

雨宮は、女相手の「枕」をやって成績を上げていた、というわけ。あとがきで作者が、証券会社勤務のお姉さん各位として謝罪していたが、漫画を読んだからといってすべての証券会社のセールスレディが枕をしていると思い込むほど読者は間抜けではないから、そこまで気にすることはないと思う。本人と顧客がそれを納得しているなら、他人から後ろ指をさされるいわれもない、と思う。

ただ、無断で会社を辞めたのはよくなかった。有給休暇消化のための休暇届を出し、休んでいる間に引っ越しを済ませ、退職届を郵送すればそれでよかった。無断欠勤が続いた挙句の事情判明では多くの人に迷惑がかかるから。

それはそれとして、顧客の一人との駆け落ちというのは面白い幕切れだ。どうしてそうなったとか、これからどうなるとか、いろいろな想像が広がる。

タイトルに戻ると、明智が(そして読者も)一番知りたかった「秘密」は、枕をやっているという「事実」ではなく、どうやって相手を口説き落とすのか、という部分なのではないか。少なくとも自分は知りたい。



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