鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「女の穴」

2011年10月1日刊。著書のデビュー作だそうだ。「女の穴」「女の頭」「女の豚」「女の鬼」の四編所収。

なんと形容していいのかわからない。どういう感想を持つのが正しいのかもわからない。表題作は、担任の教師に「私と子供を作ってくれませんか」と迫る女子高生の話。その理由は、彼女は異星人で、今は地球人の身体を借りていて子供を作るように命令されているから――。担任同様、「そういう危ない奴か」と思ったのだが、本当に異星人だった模様。

話は一見荒唐無稽なのだけれど、細部にリアリティがある。担任は、どんな理由があれ教え子に誘われて手を出すクズだが、「委員長やる気がないのになぜ立候補した?」など意外に生徒をよく見ていたり、喫煙者でニコ中で、面接中も紙をぐるぐるに巻いたものを口にしたり、ああ、わかるなあと思う。その女生徒には興味なかったはずの担任が、子どもが生まれた途端に、ずっとここにいてくれ、と懇願したり。

他の三編も、設定は異様だが、なんかわかるような気のする状況がある。そこが面白い。もちろん荒唐無稽の展開に、継ぎはどうなるのか? という面白さもある。


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