2014年3月1日刊。さまざまの媒体に掲載された作品を集めた短編集。
Amazonの紹介文はうまいと思ったことが少ないが、本作はとてもうまく紹介していると思うので、転載する。
恋人・コウタロウへの想いを残したまま命を絶ったコハルは死後、コウタロウの想い人であるハルオミに憑依してしまい――。表題作『恋につきもの』を始め、感情が高ぶると身体から薔薇の棘が飛び出してしまう体質の女子高生を描いた『いばらのばら』、不安定な夫婦の抱える秘密が胸に迫る『豆腐の家』、コミックス『女の穴』収録の傑作『女の豚』のその後を描いた『村田克己54歳』、苦く淡く切ない百合エピソードを綴った『君ならで誰にか見せむ』など…ふみふみこ本領発揮の全9作品を網羅した傑作集。
かなりバラエティに富んだ作品群で、ひとことでは語れない。巻頭作のように人外の生物の出てくる作品もあるし、表題作のように同性愛のつらさ、切なさを描いた作品もある。「ネパール××記」のようなエッセイ漫画もある。
エッセイはちょっと別だが、どの作品も、読み終わった後で何かを残してくれる。多くのものが凝縮された、内容の濃い一冊。