鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「撲殺ピンク」1

  • 山本晃司、「撲殺ピンク~性犯罪者処刑人」1(ニチブンコミックス)

2020年11月30日刊。

勧善懲悪モノは今に始まった話ではないが、水戸黄門ウルトラマンなどのように、公から、あるいは大衆から認められ、支持されている明るいA系と、制裁を実行する側も非合法なB系がある。B系の代表的な漫画は「ブラック・エンジェルズ」(平松伸二)だろう。昨今はB系タイプの作品が目につく。

私的制裁が本来は許されるわけもないが、漫画上であっても許容されるためには、制裁される人物が嫌な嫌な嫌な奴で、読んでいて本当に腹が立ってくる、誰かが何とかしてほしい、と切実に感じるような人であることが必要だ。それがバッサリやられるから爽快感を得られるのだ。

本作は、性犯罪に限定しているから、犯行を行なう場面はもっとエッチに描くこともできたはずだが、そこは恐らくエロになり過ぎないように、グロになり過ぎないように配慮しているのだと思う。意外に(?)エロくないし、制裁のシーンも、それほどグロくはない。

その結果、制裁される人間がどのくらい嫌な奴なのか今ひとつわかりにくい(口で説明されても怒りには結びつかない)し、制裁されても爽快感が得られない。この手の話を作るならば、そこは割り切ってもう少しはっきり描くべきではなかったか。



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