鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「最強地縛霊と霊感ゼロの男」1, 2

  • 池田恵介「最強地縛霊と霊感ゼロの男」1, 2

1巻は2021年3月19日、2巻は2022年4月23日刊。各巻100ページ弱なので、2冊まとめて紹介する。

男は、幽霊が出るという事故物件に(それがゆえに格安の家賃で)三年間住んでいたが、一度も幽霊を見たことがなかった。いよいよそこを引っ越すことになったため、せめて一度くらい幽霊を見ることができないかと思案している。

実はその部屋には忌名子という、最強最凶の地縛霊をはじめ、悪霊が何人も存在していた。が、男に霊感がないせいか、全く感じることができなかったのだ。忌名子は忌名子で、自分の存在を無視されたことに傷つき、なんとか知らしめようとあらゆる手を打つが……

突飛な設定だが、これはラブコメである。1巻の途中でかすかな交信に成功し、男は幽霊の存在を信じかける。もどかしいやりとりを続けるうちに、自分を恐れず普通に接してくれる男に、忌名子は好意を抱くようになる。

そこへ除霊師である楠木樹が登場。楠木は忌名子の力を知りつつも、ほっておけないとやってきたのだが、男は楠木の大きな胸に目が釘付けになり、あからさまな好意を示す。それを見た忌名子は嫉妬に燃え狂う。

楠木が忌名子とコミュニケーションできることを知った男は、楠木を介して忌名子との会話を試みるが、男は楠木が好き、楠木は男を軽蔑しており、忌名子には恐れを抱いている、忌名子は男に好意を、楠木には嫉妬を……という三者が、楠木を通訳として会話を重ねていくのである。そのドタバタぶりはおかしいが、各人の気持ちはどれもよくわかる。切ない話でもあるのだ。

この先はますます面白くなりそうだ。3巻を期待して待つ。



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