- 曽祢まさこ「わたしが死んだ夜」(なかよしコミックス)
1979年10月1日刊。「わたしが死んだ夜」「緋色のマドモアゼル」所収。
「わたしが死んだ夜」
クレアとエバは一卵性双生児だが、仲は良くない。ある時レインという男性を同時に好きになり、二人の間柄は決定的になる……
クレアとエバが互いに相手に苛立つ気持ちはわかる気がする。そっくりの兄弟がいたら自分もそうなるように思う。兄弟だから、そっくりだから、仲がいいに決まっていると周囲に決めつけられると、よけいに反発する点も、よくわかる。
よくわかるところから始まり、極めて意外かつ悲惨な結末にたどり着く。曽祢まさこの本領発揮だが、「なかよし」の読者層には少々難しかったのではないか。いや中学生だったらわかるかなあ……?
「緋色のマドモアゼル」
アデルは金持ちの一人娘でわがまま放題に生きてきた。ある種の感情が抜け落ちた問題児で、ジャン=ルイと婚約が決まった時に、アデルの父がジャンに「君が気に入ったのであえて忠告するが、手を引くなら今のうち」と伝えたほど。アデルは自分の過去の所業をジャンに知られないよう画策するが……
わかりやすい話だ。高慢なアデルが期待通り(?)不幸になるので、話はうまく落ちているが、ジャンのアデルに対する態度は、自身の信条に反しているのではないか。