- 鳥原習「空気が「読める」新入社員と無愛想な先輩」2(一迅社)
2022年1月25日刊。
慈と志野が少しずつ仲良くなっていく様子が微笑ましい。
志野の持つ特技(?)は唯一絶対のものではなく、同じ能力の人間が社内に(少なくとも)もう一人いた。国忠懐斗。その的確な判断力と自信に志野は圧倒されていたが、なんのことはない、同じチート能力の持ち主だったというわけだ。
1巻で触れられた、慈が指導に失敗した(と当人が思い込んでいる)新人君の事情がわかった。配属先のモラルが相当に低かったことが原因だ。これは慈には関係ないところ。もっとも慈はそう考えていはいないようだが、「慈先輩が自分のことをきちんと育てようとしてくれた」ことに本人が気づき、それを当人にちゃんと伝えられたのはよかった。
それにしても、この部署の低モラルに関しては社内でも認識されているようだが、放置されているのはいささか疑問である。
年ごろの男女が互いを意識するようになっていく時、もし相手の心の中が見えたら、たいていの女性は耐えられないのではないかと思う。というのは、たいていの男は、好きな女性を前にしたら、性的なことをあれこれ考えるに違いないからだ。関係ができてしまえば、自分に欲情してくれることを好意的に捉えられるかも知れないが。本作ではそういうリアリティは追求していないから安心して読める。