- 水凪トリ「しあわせは食べて寝て待て」1(秋田レディースコミックスデラックス)
2021年4月16日刊。
東京新聞でブルボン小林のコラムの連載が終わって残念に思っていたら、新たに藤本由香里のコラムが始まった。その第一回で紹介されていたのが本作。サンプルを見たら絵の好感度が高かったため購入したところ、抜群に面白かった。
バリバリ働いて、マンションの購入も視野に入れていた麦巻さとこ。が、病気のため、日常生活は送れるがフルタイムの勤務は無理になり、週四日働いて三日休む生活に。家賃が払えないため、築45年の団地に引っ越すことに……
バリバリできない自分を受け止め、認めてあげる物語、とでもいうのか。
隣人の司さんも、若く健康な男子だが、仕事をせず、赤の他人の美山鈴の家に居候し、養ってもらっている。鈴は鈴で、90歳を過ぎて「お手伝いさんがほしいと思っていた夢がこの年になってかなった」と楽しそう。いろいろ欠けているが、欠けていることを残念がるのではなく、その中でできることをして、幸せを見つけていく。文字にすればそういうことだろうが、力づけられる話である。
目黒さんは美人でスタイルがいいし、ファブルの佐藤は天才的な殺し屋だし、猫の諭吉はもちろんでき過ぎる。そういう強烈なキャラクターに引き込まれるのが多い中で、異色ではある。こういうタイプの作品に接するのは、初めてではないと思うが、すぐに思い浮かぶものがない。
さとこと司の関係も気になるところ。2巻では少し発展しそうだが……?