1・2・3巻は2018年4月20日刊、4巻は2021年8月20日刊。一応、最終巻が出てから一年半以上経っても続巻がないため、4巻が最終巻なのだろうと見当をつけているが、ラストシーンらしい描写はなく、忘れた頃に5巻が出るのかも知れない。
タイトル通り、怪奇漫画であり、本格ミステリーでもある。人が次々に殺される。本当の意味での怪獣や幽霊、超能力者は出てこないが、犯人はたいてい、こうした人外の者を装っている。明智小五郎の一連の探偵小説を連想させる。
主人公は霜山県にある霜山中学校実験部の写楽炎(しゃらく・ほむら♀)、ワトソン役は空手部の山崎陽介。炎は刑事顔負けの推理力を発揮し、事件の謎を解いていく。当初はたまたま事件に巻き込まれるのだが、途中からは評判を聞いてわざわざ炎に事件解決を依頼に来る人も増えた。
犯人がわかった段階で刑事に伝え、先に確保してから謎解きをすればいいのにと思うが、まず関係者全員を集めて謎解きを披露するという手順を踏む。たいていの場合、その間に犯人に逃してしまう。こうした点は、TVドラマの江戸川乱歩の美女シリーズを彷彿させる。刑事は毎回同じ人だが、毎回同じ失敗をして進歩がない。
怪奇冒険譚は昭和のテイストだが、舞台は現代であり、登場人物は普通にスマホを使うし、警察は科学捜査を行なう。絵柄も昭和の香りがするが、女の子の可愛さは昭和のものではない。スカートの短さも。つまり、ノスタルジックな香りを出しつつも、ちゃんと現代の作品になっているのだ。こうした点は池田邦彦と共通するものを感じる。
一見雑な感じの絵だが、細かいところに手がかりが描かれたりしているため、読んでいて気が抜けない。面白くて一気に読んだ、といいたいが、読むのにはそれなりに時間がかかった。引き込まれる作品だった。続編があるなら歓迎する。