鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「茶番劇」

2019年9月1日刊。連作短編集。「漫才雨譚」「茶番劇」「飛んで火にいる夏の虫」「猛毒が目にしみる」の四編収録。最初の三作は漫才コンビ「おやこどんぶり」(千住珠子&鳥居柚子)、最後の一作は漫才コンビ「アンドボンド」(安倍碧&巽奏)が主人公だが、同じ世界線であり珠子、柚子も登場する。

GLではあるが、どちらかというと、漫才という過酷な世界でプロになること、生き残っていくこと、また、相方とのコンビネーションなどの厳しさが十全に描かれている。そこにさらに「相方が好き」という気持ちがかぶさる。

気持ちだけでやっていける世界ではないだろうが、気持ちがあるからこそやっていける。そんな気にさせられる。

最終話のラスト、真っ黒のページに心臓の鼓動だけが響いているシーンが好きだ。



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