鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「雑兵めし物語」2(新刊)

  • 重野なおき「雑兵めし物語」2(バンブーコミックス)

2023年5月29日刊。発売日に即購入。

滅茶苦茶面白い。重野なおきの最高傑作、と言いたい(が、「信長の忍び」も「軍師 黒田官兵衛伝」も「真田魂」も皆面白いから言えない)。

重野なおきにしては珍しく登場人物は皆、架空の人物である。しかし、庶民一人一人は名前は残らなかったが、こういう人がいたのではないか、と思わせるリアリティがある。

唯物史観では、歴史は下部構造によって決定されるという。白土三平の「カムイ伝」は庶民の生活を描いたから傑作になったという。時代劇は庶民を描いてこそ面白い。

2巻では、村同士の争いごとが起きた時に、相手方が、犯人を差し出して来て話が収まった。むろん死罪である。恐らくその人は真犯人ではないだろう、と作兵衛は言う。村は、こういう時のために村は貧しい者を住まわせておくのだ、と。これ、「女城主直虎」で、ムロツロシがまさにその役だった。

戦の時に、ヤバイと思ったら雑兵は逃げることもできるが、武士は逃げられない(敵前逃亡はその場で死刑)、だから仕官すれば禄はもらえるが考えものだ……という考察も興味深い。

つるちゃんとは、ま、いつまでも気を持たせず、3巻あたりで結ばれてほしい。つるちゃんも出て行く気は全くないようだし。



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