2019年6月28日刊。
主人公の田力くんは大学進学と同時に交通事故に遭ってしまい、数ヵ月入院。元気になって退院したが、既に仲良しグループができてしまっていて友だちができず、ぼっちが決定した。ところがアパートの隣の部屋の女性が声をかけてくれて、話をするように。壁が薄くて部屋にいると隣の声が丸聞こえなのだ。
声の主は大神。実はアパートのオーナーでもあるのだが、引きこもりで部屋から出られないらしい。そのため田力は大神の顔を知らない。が、部屋へ戻ると「お帰りなさい」と言ってくれる人がいる生活に幸福感を覚えるようになっていった。
ある時大神の部屋の前を通りかかったらドアが開き……。
非モテ男子の住むアパートの隣りの部屋に美女が、という設定で始まる作品は、「お隣の音成さん」のほか、このブログで取り上げただけでも「穴殺人」「理想のおとなりさん」など複数ある。このタイプは探せばいくらでもあるのだろう。「隣」ではないが、かの「めぞん一刻」(1980~1987)もそうだ。
本作の「引きこもり」という設定は斬新だ。ずっと部屋にいるから、主人公が部屋に戻れば必ずいる。接触時間が長くなるのだ。ただし会えない。妄想をかきたてるが実際の容姿はわからない。それに実際のところ、会えないのであれば「付き合う」ことはできない。さて、今後どのように発展していくのか。
購入し読んだのは随分前だが書く機会を逸してきた。「お隣の音成さん」を取り上げたから続いて書くことにし、それに先立ってtwitterで作者を検索してみたところ、なんと漫画家を廃業だそうで、アカウントは削除はしないものの、今年の2月で運用を停止したとのこと。ビックリ。