鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「耳をふさいで夜を走る」

  • 石持浅海「耳をふさいで夜を走る」(徳間文庫)

単行本は2008年6月17日刊。文庫本は2011年9月2日刊。蔵書の再読。前回読んでからたかだか10年くらいしか経っていないはずだが、全く覚えがなかった。そういう意味では新鮮に楽しめた。

一夜のうちに6人の男女が殺され、一人が行方不明。全員がある支援グループのメンバーだった。この異常事態はいかにして引き起こされたのか?

石持作品は、論理展開が緻密で、説明はわかりやすい。突飛もない話のような気がしても、順に説明されると確かにそうだと納得できる。この緻密さが特長でもあるが、くどい、というデメリットもある。本作に関しては序盤を除いてはくどい方が勝っていたように感じられた。が、終盤の急展開は息をするのを忘れるほどだった。

ひとつ、残念だったのが、行方不明になった一人が、実際にはどうなったのか説明がなかったこと。刑事が「こうかも知れない」と想像した通りのことが起きたということなのかも知れないが、ちょっと拍子抜けの感がある。当該人物の怪物ぶりを伝えるには、そこを描かない方がいいと判断したのだろうが、逆に、そこを描いた方がよかったように思う。

もうひとつ、登場人物の中に女性が5人いるが、彼女らの描写が、美人とかかわいいとか胸の大きさとかスタイルとか、そういうことばかりが強調されているのは気になった。登場人物は真の愛情を知らず、表面的な付き合いしかできないということを表現するためにわざとそのような書き方をしている、というのは穿ち過ぎか。



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