1990年2月1日刊。「月刊少年マガジン」1989年7月号、1990年1月号、2月号掲載。
作品名も作家名も見覚えがないが、ちょいちょい広告に出て来るので、少し読んでみたらむっちゃ面白かった。
江戸幕府が出来て間もない頃、凛々しい若君が無法者に襲われていた。そこに通りかかったごつい武芸者が狼藉者を一刀両断する。若様お月のじいが、武芸者に、ゆえあって若は命を狙われている、用心棒になってくれないかと頼む。武芸者は、茶屋で飯を食べていた若者を指し、用心棒ならあいつに頼め、役に立つだろうと言う。武芸者の名は宮本武蔵、呼ばれた若者は陸奥八雲――
陸奥圓明流は人を殺す技を極めた幻の武術。生まれて数百年、ただの一度も敗北を知らないという。心あるものは、陸奥を名乗る男とは何があっても事を構えるなと言う。が、強い男と知ると剣を交えなくなる男もいる。宮本武蔵もそほ一人。
凛々しい若君は実は女で、いろいろあって家を出て八雲について行く決意をし、旅先で九鬼の者に絡まれて大勢に命を狙われるが返り討ちにした後、ついに武蔵と八雲の対決……と、まあ、息も継がせぬ展開である。ダラダラしたところがなく一気にまくしたてるスピード感が心地よい。しかし、全23巻のはずだが、こんなジェットコースター展開でこの先どうなるのか? 宮本武蔵が出てきたらそれ以上の相手はおるまいに、と余計な心配をしてしまうほど。
かなり有名な作品のようだが、この作者はもっぱら月刊少年マガジンを発表の場にしていたようだ。それならば知らないのも致し方ない。絵柄がむつ利之に少し似ている。