鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「リンゴのひめごと」

  • あまいろ「リンゴのひめごと」(コルク)

2021年10月15日刊。リンゴというあだ名の女の子(本名は神田ひより)が主人公。小学生編と高校生編の二季物語。

いい! とてもいい!! では感想にならないが、とてもよかった。

小学生編では、ひよりは明るく前向きな女の子。父親の吾郎は高校教師で、妻あかりとの仲はとてもよい(お揃いのパジャマを着ている、毎晩「愛している」と言うなど)。親友のなおちゃんはちょっと抜けが多く傷つきやすい女の子。両親は喧嘩ばかりしていて、ちょっとネグレクトの傾向もある。男子の村木くんはあかりのことが好き。だが父親の勤め先が倒産し、転職のため引っ越していく……

高校生編では一転して、ひよりは相手のことを気にしいになっているし、なおちゃんこと福田直子は学年トップの成績。中学一年の時に両親が離婚し、以来、ひたすら努力する子になったのだ。そんなひよりはサッカー部の牧本くんのことが好きになり、だんだん距離を縮めていくが、自分だけのひよりでいてほしい直子は、不快感を顕わに……

子どもたちの世界にもいろいろなことが起きる。それぞれの物語を独立したものとして読んでも面白いが、小学生から高校生へ、ひより、はるの性格と関係性の変化が最大の読みどころだ。この作者は、時間の経過とともに変わっていく関係性を描くのが本当にうまい。

舞台は浜松で、作中に「うなぎパイ」が何度か登場する。春華堂のオブジェに本作の一部が使用されているそうだ。



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