単行本は2008年9月20日刊。文庫本は2011年3月10日刊。蔵書の再読。
再読と書いたが、かつて、読み切ったことはあったのだろうか。10年前、20年前に読んだはずの本の内容を忘れているのは仕方がないとしても、読んだ記憶すらないのは尋常ではない。そもそもなんでこの人の本を買う気になったのだろう。古書ではなく新刊で買っている。まあまあの価格である。伊藤比呂美の名前くらいは以前から知っていたかもしれないが、認知するようになったのはバニラファッジさんと付き合いがあり、ブログ「七人家族の真ん中で」に描かれるようになってから。それが10年前だったのだろうか。
本作は様々な悩みを取り上げる体で人生を語っており、身の上相談の回答者を長年務めて来た著者のまさに真骨頂である。落語調(講談調?)の語りで、語り部が「伊藤しろみ」と全部の「ひ」を「し」と発音しているのは面白いが、最初から最後までこのトーンなのでちょっと読むのに疲れた。
まあ、こういう本を読んだからといって様々の悩みがすーっと消えて元気が出て来るというものでもないのだが、やっぱり明日も生きて行こうとは思わされるのだった。