鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「むかしのはなし」

単行本は2005年2月25日刊。文庫本は2008年2月4日刊。短編集。7話所収。

それぞれの話の冒頭に、「かぐや姫」「花咲か爺」など著名な昔話の要約が掲載されている。そのパロディなのか? と思うが、関連性が全く見えない。また、各話は現代の話であって、昔の話でもない。

ところどころ「あれ?」という部分があるが、だいたい半分を過ぎるあたりで、これらは別々の話ではなく同じ世界線の話なのだとわかる。さらに読み進めるとタイトルの意味もわかるのだが、結構ぞっとする話である。

それはそれとして、「ディスタンス」という短編に胸を衝かれた。年上の人に恋した女子高生の話。今は歳の差はあるけれど、大人になれば、年を取れば、年齢差は気にならなくなるはず、と勘定しつつ、会いたい思いをこじらせている。彼に会えないのは、付き合っていることが両親にバレて会わないように言われたからだと思っている。勉強が忙しいからだとも思っている。アルバムを見ると、小学生の時は写真をたくさん撮ってもらった、高校生になってからは一枚もない、とか、下の毛はない方がかわいいと言って彼がこまめに剃ってしまうとかいう描写があって、読者は「あちゃー」となるのだ。友人から、その人はあんたが好きなんじゃなくて、あんたが女子高生だから好きなんじゃないの、と言われて絶交するシーンがあるけれど、女子高生ですらないんだよ……



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