鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「シバつき物件」1

2024年9月4日刊。

アプリで読んでいて先が気になったので単行本を購入。

部屋を探していた百瀬氷は、新築1LDKで家賃が4,800円という格安アパートを見つける。理由はワケあり物件だから。その部屋には地縛霊の柴犬(ジバ犬)のむうちゃんが存在するのだった。むうちゃんと仲良く「同居」できることが条件だから……

当初はいろいろあったものの、むうちゃんと氷はだんだんにお互いを知るようになり、仲良くなる兆しが見える。これからどうなかよくなり、どんな風に暮らしていくのか、楽しみでもあるが、それ以前に気になることがある。

物語の冒頭で登場した氷を見て、漠然とOLかと思った。が、17歳の高校生だと紹介されて驚いた。なぜ物件探しに親が同行しないのだろう。彼女が契約書にサインをしても法的に有効ではなかろうが、それよりも、部屋を探すというのはいろいろと考慮しなければならないことも多く、大変な作業であり、それを(社会経験の未熟な)高校生が一人でして大丈夫かと思ってしまう。

親はいないのかと思ったらそうではなく、氷が定時連絡の約束を破ると(騒ぎが起きてそれどころではなかったのだが)向こうからかけてきて氷をなじる。えっ、親はいるのに、高校で虐めに遭い転校せざるを得ない状況に陥った氷に一人暮らしをさせ、部屋探しに同行せず、引っ越しも手伝わず、電話する約束を破ったからと言って理由も聞かずに非難するのか。これは親によるDV、ないしネグレクトではないのか。

氷は「ホラー音痴」(怖いとかきもいとかの感覚がない)と自称するが、これは親から身と心を守るべく身につけてしまった感覚なのではないだろうか……。

そこが主眼の物語なのかどうかはわからない。作者がそれを意図しているのかどうかもわからない。主題は氷とむうちゃんとの交流になるのだろうが、そこが解決しなければ彼女は一歩前へ進むことができないのだはないか。



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