- 麻生羽呂「今際の国のアリス」1, 2, 3(少年サンデーコミックス)
「少年サンデーS」で連載された作品(2010年12月号~2015年5月号、その後週刊少年サンデーへ移籍)。単行本は、1巻は2011年4月18日刊、2巻は2011年9月21日刊、3巻は2012年1月23日刊。全18巻で完結。
ある日突然、あるグループが、ある学校が、ある地域社会が、神か悪魔のような超自然的能力を持つ者によって強制的にとあるゲームに参加させられ、クリアできないと死ぬ……という作品は、私は「ACMA:GAME」(「週刊少年マガジン」2013~2017年連載)が初見だ。先行する類似の作品があったのかどうかはわからない。あまりに荒唐無稽な話だと、自分はさほど興味は持たなかったが、単行本22巻、実写ドラマ化され、劇場版も制作されたから、人気はあったのだろう。
その後、類似パターンの作品を次々に目にすることになる。現在は一大ジャンルを築いているといってもいい。
本作はその系列になるだろう。ある日突然地球が爆発のような強い光に包まれ、その後……。主人公の有栖良平(アリス)、苅部大吉、勢川張太の腐れ縁三人は、見知らぬ世界で目覚める。元の世界とは地続きだが一年半くらい経過している模様。彼ら以外の人間は消滅。その後、他にも人はいることがわかるが、圧倒的少数であり、世界は一切の生産を行なっていない。だから食べるものも朽ちかけたスーパーやコンビニに残っている缶詰や乾物くらいしかなく、電気も使えない。
そこで知り合った紫吹小織から、定期的に各地で開催される「げぇむ」を切り抜けることで数日単位で寿命が与えられるが、「げぇむ」に参加しなかったり参加してもクリアできないと殺されることを教わる。
という設定である。この三人組とシブキの四人が協力して「げぇむ」を次々とクリアし、そして……という展開かと思ったら、最初の「げぇむ」は確かにそうなるのだが、次の「げぇむ」ではアリス以外の三人が死ぬ。という衝撃の展開となる。これにはびっくり。小山ゆうの「あずみ」では、仲の良い腕っこきの仲間たちが、第一話で半分になってしまう展開で驚かされたが、その時以来かも知れない。初回に登場し、主人公とバディを組んで長く残ると思われた登場人物が序盤で死ぬ、という話は他にあるだろうか?
その後アリスは宇佐木柚葉という女性と一緒に行動することになる。実写ドラマでこの人物を土屋太鳳が演じたことを知ってしまったので、彼女は長く生き残るのだろう。