2024年12月1日刊。また新刊が出た。このシリーズは亜月亮の作品の中でも最も好きなので、ぜひ長く続いてい欲しい。
今回のテーマはパワハラ、地方における男女差別、そして性自認などなど、まさに現代の社会問題をすくいあげている。普通は善悪と言うのは明確に分かれているものと考えられるが、こうした問題は、自分が常に必ず正しい側に立っていられると断言できない怖さがある。一殺法のない世でよかったというべきか、一殺法があれば世の中はもう少しましになっているかも、というべきか。
毎回登場する関東支部13班の班長・未来(およびその部下たち)のうさん臭さがいい味を出している。いくら殺しても飽き足らない人物だとはいえ、「殺す」ことで決着を着けるのに「正義感面」をして執り行われるのは、やはりやりきれないものがあるから。本当はそうしたことに関わらずに済むのなら関わらずにいたい、そう思わせるものであるところがいいのだ。