- 曽祢まさこ「仮面は眠らない」(ぶんか社コミックス)
紙版は2017年4月17日刊、kindle版は2017年7月13日刊。表題作のほか、「にんじん」「夢を喰う城」「エスターの夢」所収。
表題作は、双子であるがゆえに長女の「影」でいることを強いられた次女が、ついに「正」の立場に躍り出て幸せな結婚をした……と思いきや、仮面夫婦を強いられたという話。そこで終わりでもよかったが、陰にまわされた長女が復讐を誓うところで終わっている。普通に考えたら、この長女が何を企んだとてもはや何もできないと思うが、何か手があるのなら、それを彷彿させるところまで描いてくれると面白かったかなあと愚考。
「にんじん」はルナールの小説「にんじん」へのアンチテーゼだというのは興味深い。
「夢を喰う城」権力を握ると(握りかけると)人は変わるね。
「エスターの夢」引き込み強盗の片棒を担がされた少女の行く末は……
依然として衰えることのない作者の魅力あふれる作品集。