- 曽祢まさこ「罪なき子」(ぶんか社コミックス)
紙版、kindle版とも2019年6月17日刊。表題作のほか、「罪なき花」「断罪の家」「革命と断頭台」所収。「仮面は眠らない」のさらにあとの作品。ここらあたりが最新作になるのだろうか?
表題作は、弟に奪われた母親の愛を独り占めしたいと願う姉の物語。ナチュラルに凶悪な行為を行なうのは、善悪の区別がつかない幼いゆえとも言い切れず、サイコパスの資質があるのかも知れないが、物心ついた頃に母がもう少し姉に構ってやれば避けられたかも知れない、と思うと切ない。続編の「罪なき花」では、亡き母の言いつけを聞いて、弟を守ることにシフトチェンジ。ハッピーエンドで良かった……と思うが、今度は弟を守るがためにナチュラルに「なにか」を行なうのであろうか?
「断罪の家」は毒親によって人生を踏みにじられた兄弟の物語。父親は自分のしたことを少しでも反省したであろうか。
「革命と断頭台」は実在の人物を材に取った話だが、あとがきがよい。
フランス革命でいう「自由と平等」は男性だけのものです。当時、女性の権利はないに等しい。ここのところを学校でちゃんと教えてほしいです。
こういう視点が常にあるからこそ、作者の描くキャラクターは単なる善悪で語れない深みがあるのだろう。