- 原作・南野海風、キャラクター原案・磁石/刀彼方、漫画・古代甲「凶乱令嬢ニア・リストン」1, 2, 3, 4, 5(スクウェア・エニックス)
1巻は2023年5月6日刊、2巻は2023年9月7日刊、3巻は2024年2月7日刊、4巻は2024年7月7日刊、5巻は2024年12月6日刊。
順序としては漫画を先に読んでいるのだが、原作を読んでから改めてコミカライズ作品を読んでみると、実によくできていると感心する。
昔の小説家と映画監督、漫画家などは物語の捉え方が大きく異なっていたと思うが、今の若い人は同じように考えているのではないかと思う。だから比較的映像化はしやすいのかなとは思うが、それにしても原作と読み比べて全く違和感がない。
最近のライトノベルは原作を発表する段階でイラストレーターが個々のキャラクターを具体的にかなり細かく書き込むため、コミカライズした時にイメージが変わると甚だよろしくない。というわけでイラストレーターはキャラクター原案としてクレジットされ、漫画家はイラストレーターの絵に寄せて描くことを強いられる。まあ絵柄の似た人が選ばれてはいるのだろうが、この点もうまくいっている。
小説では必要なことだけ書けばよいが、漫画は視界に入るものをすべて描かなければならない。衣服も家具も建物も、架空の世界の話だけに現代日本に似せるわけにもいかず、さぞ苦労があるのではと思うが、これもうまくいっている。
その上、格闘になった時のリアの動きが実にうまいのだ。リアは小柄で、筋肉もない。といって、魔法使いでも超能力者でもない(それに近いような力はあるが)。そういう人物が喧嘩が強くて無双するとなると、描き方は難しいと思うが、実に鮮やかに動きを描いている。
ひとつだけ注文がある。裏の世界で用心棒家業を務めていたが、リアに負けて酒屋の経営者に転身したアンゼル。彼が、初登場時はともかく、ニアの弟子(?)になってからも煙草が手放せないのは解せない。ニアは、どんな荒修行を課すよりも、まずタバコをやめろと言うはずだからである。
あとはリノキスにもう少し色気が欲しいところだが……そうなるとジャンルが変わってしまうから、今のままでいいのだろう。





