鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「逢魔が刻 腕貫探偵リブート」

2019年12月単行本刊。文庫本は2022年12月15日刊。「ユリエのお見合い顛末記」「逢魔が刻」「マインド・ファック・キラー」「ユリエの本格ミステリ講座」の四編所収。

以前西澤保彦を読み漁った時は本書はまだ発行されておらず、今回新たに購入。「リブート」とあるが、別に新しいシリーズが始まったわけでも、以前のシリーズが終わったわけでもない。前作から四年と、やや間が空いたとは言えるが。

表題作が一番面白かった。徐々に事実が明らかになり、真相に達した時はゾクっとした。

他作品も面白いことは面白いが、不満もないではない。

回を追うごとに腕貫探偵の存在感がどんどん希薄になっている(もともと希薄な人で、いまだに名前もわかっていないが、登場回数自体がどんどん少なくなっている)。第一話の探偵役はユリエ、第二話は語り手。腕貫探偵は第四話にしか登場しない。しかもユリエも同じ結論に達していた。

住吉ユリエ、安達真緒、阿藤江梨子、鳥遊葵といったメンバーが活躍するのも悪くはないけれど、彼らが行き詰って途方に暮れたところでズバリと言うのが腕貫氏であったほしい。

なお住吉ユリエは依然として大学生であり、だーりんとの間に特に進展はない。描かれないだけで実は深い関係が進行中なのかも知れないが、あまりそのようには思えない。ユリエは腕貫氏に対し、馴れ馴れしいけれど(そして信頼し、尊敬しているのはわかるけれど)、恋しているようには思えないからだ。