鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「紫電改のタカ」5

  • ちばてつや「紫電改のタカ」5(コルク)

滝たちは、秘密基地の上空でさまよっていたゼロ船を発見し救出するが、搭乗員は特攻隊を命じられた米田二飛曹の弟だった。次郎は、兄に会って死ぬ覚悟が出来たと、飛び立って行こうとするが、滝は次郎をなだめすかして連れ戻した。米軍の攻撃は激しさを増し、この基地も危ないとさとった宇津井大尉は、生き残った滝たちに本土へ帰還せよと命じ、自分は島もろとも自爆していった。本土へ戻って来た滝だったが、敵機の来襲にも一人寝続けるなど人が変わったようになって……!?(Amazonの紹介文より)

滝らは秘密基地から松山基地へ戻ったが、米田ら四人を失い、8人になっていた。

滝は新戦法を編み出す。それを実行するには高い操縦能力と体力が必要で、そのため特訓を繰り返していた。疲れて眠っている間に基地が襲われた。眠りから覚めない滝を除く兵で迎え撃ち、23機を撃墜したが、味方も11機撃墜された。つまり11人が死んだ。

目を覚ました滝は戻る敵編隊を単騎で追いかけ、19機撃墜。基地に戻ってきたところを追いかけて来た敵5機を反転して迎え撃ち、全機撃墜した。が、自身の機体も爆発し、かろうじてパラシュートで脱出し生還。

新戦法はすごい威力だが、パイロットも激しく消耗し、機体の損傷も大きい。

そんな矢先、ゼロ戦の撃墜王、酒井中尉が、目をやられて飛行機に乗れなくなったため、愛機である黒塗りの紫電改が、大戦果をあげた褒美に滝に譲られることになった。

そして敵の撃墜王、タイガー・モスキトンを倒すよう、滝に指令が下る……

相変わらず花田の性格は悪く、新戦法を身に付けるための特訓を課そうとする滝を逆恨みし、殺そうとする。が、果たせず、滝が告げ口をするのではとぶるぶる震えるも、滝が黙っていたため不問に。

まあ、5巻の初めには、この新戦法をマスターできるのは花田しかいない、ぜひ覚えてほしいと頼み込む(花田は、つけあがるなと断わる)のに、途中から、俺も新戦法をやると言い出した花田に、あんたにゃ無理だとかたくなに言い出すので、花田ならずともフザケルナとは思うところ。

前巻で米田の弟が合流する。ちばてつやが、小さい子どもを描くのがうまいせいもあるが、子どもが一人いるだけで、場が華やかになり、微笑ましいが、こんな子も、戦果を挙げるというのは人を殺すことであり、また、自分の命を懸けることであると思うと、悲惨さがいっそう際立つ。自分にはこの米田弟がキムに見えた。滝だってシンだって若いのだが、若いというより幼い兵が一人混じっていることの効果を、新谷かおるは本作で感じたのではないか。実際に戦争末期には徴兵される年齢がどんどん下がっていったわけだが。

特訓して新戦法を編み出したり、強力なライバルが登場したり、そのライバルも独自の必殺技を持っているらしいこと、これが戦争でなければもっとワクワクするところだ。



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