- 原作・白石新、キャラクター原案・たかやKi、漫画・さめだ小判「異世界帰りの勇者が現代最強!」1, 2, 3(スクウェア・エニックス)
1巻は2019年9月12日刊、2巻は2020年4月11日刊、3巻は2021年3月5日刊。ガンガンオンラインにて連載中。
異世界へ転生する話はあふれているが、本作は、異世界へ転生し勇者として魔王を倒した森下大樹が、再び現代日本へ戻ってきたあとの話。
異世界へ行く話は無数にあるが、現代日本に戻ってきた話は目にした覚えがない。多くの「異世界もの」では敢えてぼかして描かれているが、普通に生活するなら現代が一番豊かで安全なわけで、異世界で身に付けた能力を持ったまま現代に戻れれば、こんないいことはないのである。
とはいえ異能が人に知られたら、恐れられるか好奇心にさらされるか、普通の生活が送れなくなることもまた自明。その狭間でどう生きていくのかを描いた、非常に興味深い視点の作品である。
元々はいじめられっ子だった大樹が、再びいじめてきた相手を返り討ちにするところから物語は始まる。この世界にも転校生のレーラ・サカグチ、神道の大家のご令嬢・阿倍野輝夜など、異世界帰りとおぼしき特殊能力を持つ存在もあり、そういう人間同士のバトルとなると、舞台が現代日本である意味はあまりなくなるが、3巻でクラス委員長の村山藤花が、母子ともどもヤクザに目をつけられ、悲惨な目に遭うところを助けるのは面白かった。ヤクザの重火器を相手に圧勝するシーン、そして大樹は委員長に好意を持っていたからだが、協力した阿倍野とレーラの目的は同情でも正義のためでもなくお金のためだったり……
阿倍野とレーラはわがままで自分勝手で常に上から目線で人に対応する。大樹は腕力で言えば彼女らに負けはしないのだが、威圧され、ついペースに巻き込まれてしまう。このあたりも、「カッコいい勇者とそれを慕う美女」のパターンを覆しており、面白い。大樹の母が同級生かと思うくらい若くて美人だったり、料理が壊滅的に下手だったり……は、やり過ぎの感がなくもないが。
先が気になる。



