鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「九月の恋と出会うまで」

  • 松尾由美「九月の恋と出会うまで」(双葉文庫)

2007年2月21日新潮社より単行本刊。文庫本は2016年2月13日刊。新潮社では文庫化されなかったのか?

北村志織は引っ越して新しいマンションに移り住み、新生活を開始した。そうしたら、部屋にある、エアコンを通すための穴から声が聞こえる。なんと、一年後の未来から話しかけているというのだ……。声の主は詩織にあることを依頼する。

松尾由美の小説には必ず超常現象が関わって来る。だから、未来から声が届くというあり得ない現象も、ごく自然に「そういうことか」と思って読み進める。声の主(シラノ)の依頼が、依頼事それ自体に意味があるのではなく、詩織に部屋を空けさせるためだろうとはすぐにわかった。まあ「赤毛連盟」以来、ミステリーのいろはのいだ。が、何の前に部屋を不在にさせたいのかは読み違えた。シラノの正体も意外だった。

相変わらずの松尾節で面白かったといえば面白かったが、最後のプロポーズでカクっときた。男が詩織へ、好きです、一緒にいてください、と言うのはいい。が、その後「というより、北村さんはそうするべきなんです」には、そりゃないだろうと。もうちょっとロマンチックに決めてほしかった。

ところで、本作は2019年に映画化されている(今知った)。主演は川口春奈と高橋一生。予告編を見たら川口春奈がかわいい! 見てみたい。AmazonPrimeで500円か……安くはない……