2010-08-01から1ヶ月間の記事一覧
夏休みの影響か読書感想文に関して書いたブログのエントリをあちこちで見かけ、自分も読書感想文が書いてみたくなった。読んだ本の記録も残しておきたいし。しかし、続くかなあというのが懸念だったが、とりあえずスタートして二週間ちょっと、19冊の本につ…
鯨統一郎、「ファンタジスタはどこにいる?」(光文社文庫) 鯨統一郎も新刊が出たら買うことに決めている作家。大半の作品がいわゆるバカミスの類なのだが、このバカミス、癖になるのだ。あまり深く考えず、軽く読み飛ばすための本。ファンタジスタはどこに…
高野和明、「13階段」(講談社文庫) 江戸川乱歩賞受賞作にして著者のデビュー作。テーマは、人はつぐなえるのか、つぐないとは何かという話。人を殺した人は、どうしたらつぐなえるのか、何をしたらつぐなったと言えるのか。被害者の家族から見たつぐないと…
歌野晶午、「舞田ひとみ11歳、ダンスときどき探偵」(光文社文庫) 歌野晶午を読むのは久しぶりだ。連作短編集。トリックにも無理がなく、伏線の張り方も自然で悪くない。タイトルを見て、舞田ひとみという11歳の少女が探偵役をやるのかと思い、それはいくら…
新津きよみ、「指先の戦慄」(角川ホラー文庫) 新津きよみは、入手できる本はすべて入手したし、新刊が出ると必ず買うことにしている作家である。超ベストセラーはないが、息の長い作家である。本書は6月の新刊。新津きよみは、長編にもいいものがあるが、…
北川歩実、「真実の絆」(幻冬舎文庫) 北川歩実は覆面作家らしい。年齢・性別・本名などが明かされていないことからそう呼ばれるらしいが、本来、作家は作品が勝負で、むやみに私生活を明かす必要はないし、読者だってそんなことに興味はないはずなのだ。が…
北川歩実、「熱い視線」(徳間文庫) 短編集。比較的最近発刊された本だが、収録されているのはほとんどが約10年ほど前の作品である。最近北川歩実が人気なので、過去の文庫未収録の作品が刊行されたということらしい。北川歩実は明野照葉とほぼ同時期に知っ…
明野照葉、「骨肉」(中公文庫) ユーモア小説。これまで読んだ明野作品の中では異色に思える。こんな作品も書くとは少々意外。稲本家には娘が三人。ある日父親が、「今まで黙っていたが、実は四女がいる」といってその子を家に連れてきたことから騒動が始ま…
明野照葉、「汝の名」(中公文庫) 「女神」の一年後に上梓された本であり、「女神」の換骨奪胎ともいえる内容。主人公の名前も設定も異なるが、やっていることは似たような内容である。前作では、主人公に憧れる女はただ観察するだけで、主人公からは一顧だ…
明野照葉、「棲家」(ハルキ・ホラー文庫) こういう小説をホラーというのだろうか。事態が日常生活を超えて不思議な、というより異常な事態を引き起こし、どんどん深みに嵌まっていくのも怖いし、ラストで事件が解決したかに見えるうしろでさらなる事件が暗…
明野照葉、「女神」(光文社文庫) 明野照葉は、昨年「ひとごろし」を読んで以来、注目しており、まずは既刊の作品を読んでしまおうと目に留まったら買っているところである。ただ、彼女の作品は病的な気味悪さが漂う作品が多く、あまり立て続けには読みたく…
永井するみ、「年に一度、の二人」(講談社文庫) 三つの短編からなる。当初は、同じようなテーマで中身の異なる短編集かと思ったが、三つ目の話で三つの話が溶け合う。これは連作短編、いや、三つの章に分かれた長編と考えるべきか。三組の男女における一年…
永井するみ、「グラデーション」(光文社文庫) 永井するみは好きで文庫本が出ると必ず買うことにしている。初期の仕事シリーズはどれも綿密な取材に支えられた力作揃いであり、中期のさっぱりしたテイストのものも、佳作揃いであるが、一番の傑作はと訊かれ…
奥田英朗、「サウスバウンド」(上・下)(角川文庫) 前半は読んでいるのが途中で厭になり、何度も中断を置いて少しずつ読み進めた。いじめに遭う中学生の様子が正視に堪えなかったのだ。瀬尾まいこの「温室デイズ」や景山民夫の「さよならブラックバード」…
奥田英朗、「家日和」(集英社文庫) 奥田英朗は「イン・ザ・プール」で嵌まった。立て続けに「空中ブランコ」「町長選挙」の伊良部シリーズですっかり毒気に当てられ、「東京物語」で完全にやられた。というわけで今は過去の作品を順に読んでいるところ。短…
阿刀田高[選]、「すこぶる奇妙にこわい話」(光文社文庫) 一般応募から阿刀田高が選ぶ「寄せられた体験シリーズ」も本書で10冊目となる。このシリーズは新刊が出ると買うことにしている。「体験」となっているが、フィクションを許容されている。大事なのは…
赤川次郎、「幽霊社員」(文春文庫) 赤川次郎の著作は多い(2008年に500作を超えた)。当然、シリーズ化された作品も多い。著名な三毛猫ホームズシリーズのほか、三姉妹探偵団、大貫警部、そしてこの幽霊シリーズなどだ。もともとオール讀物推理小説新人賞…
渡辺容子、「左手に告げるなかれ」(講談社文庫) ツいている時はとことんツいていることを実感。立て続けに今まで読んだことのない作家の本を買ってきたが、今回もまた期待を裏切らない内容だった。最近の江戸川乱歩賞受賞作はこんなに好みに合っているのか…
永嶋恵美、「転落」(講談社文庫) 書店に並んでいたの本書に何気なく目が留まり、買ってみた。聞いたことのない著者である。これが当たりだった。こんな作品にぶつかるとは。こうした喜びというのはなかなか他人と分かちあうというわけにはいかないが、本読…
高野和明、「6時間後に君は死ぬ」(講談社文庫) 書店に並んでいたの本書に何気なく目が留まり、買ってみた。夢中になって一気に読了。こんなに面白い作品があったのか。こんな面白い作品を書く作家がいたのか。書店にずらりと並んでいる本の中のどれに目が…
少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。携行している本が一冊しかないと猛烈な不安に襲われる。この本を読み終わってしまったら、読む本がないから。もしその本が、読み続けるに堪えないものであったら、困るから。いったん読み始めた本を途中で放…