鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

誰もが憧れる人生の舞台裏

「女神」の一年後に上梓された本であり、「女神」の換骨奪胎ともいえる内容。主人公の名前も設定も異なるが、やっていることは似たような内容である。前作では、主人公に憧れる女はただ観察するだけで、主人公からは一顧だにされないが、主人公を目標に、自分の人生を少しずつ変えていこうとするところで終わっていた。本作は、主人公に憧れる女が主人公に取って代わろうとし、手痛いしっぺ返しを食らうことになる。

前作をさらに深化させ、別の切り口から捉えなおしたもの、ということもできるし、同じネタの二度売り、といえなくもない。どろどろの波乱を暗示させて終わるやり方は、その後の明野作品に共通するものだ。

汝の名 (中公文庫)

汝の名 (中公文庫)