- 明野照葉、「汝の名」(中公文庫)
「女神」の一年後に上梓された本であり、「女神」の換骨奪胎ともいえる内容。主人公の名前も設定も異なるが、やっていることは似たような内容である。前作では、主人公に憧れる女はただ観察するだけで、主人公からは一顧だにされないが、主人公を目標に、自分の人生を少しずつ変えていこうとするところで終わっていた。本作は、主人公に憧れる女が主人公に取って代わろうとし、手痛いしっぺ返しを食らうことになる。
前作をさらに深化させ、別の切り口から捉えなおしたもの、ということもできるし、同じネタの二度売り、といえなくもない。どろどろの波乱を暗示させて終わるやり方は、その後の明野作品に共通するものだ。
- 作者: 明野照葉
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2007/06/01
- メディア: 文庫
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