鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

この8ヵ月の記事

昨年11月1日から先月末までの8ヵ月で、195冊の本を取りあげた(うち漫画は183冊)。作者別のランキングを出すと、以下の通り。

有村しのぶは、名前を見つけたら懐かしくなり、kindleで結構出版されていることを知って大人買いした結果である。12冊は、歴代ランキングでも19位に食い込んでいる。これ以上増えることはなさそうだが。

生田悠理、小林薫山内規子はミステリー&サスペンス系で、自分の中では同傾向の作家。山内規子はその前から少し読んでいたけど、生田悠理と小林薫は初登場。昨年8月になんのきっかけか亜月亮に嵌まり、そこからこの分野に夢中になった。亜月亮は読みたいけど未入手の本がたくさんあるし(この人作品多いから……)、小林薫山内規子も、読んだけど感想を書いていない本が何冊もある。ただ、マイブームは去ってしまったから、しばらくは書く気にならないだろう。

今回、ちょうど6月末で区切ったので、今後、半年単位で集計してみると、その時期の興味・関心が知れて面白いかも知れない。



漫画・コミックランキング

ここで終わりは生殺し「彩香ちゃんは弘子先輩に恋してる」1

  • Sal Jiang「彩香ちゃんは弘子先輩に恋してる」1(アクションコミックス)

2021年9月16日刊。

OLの彩香は弘子先輩が好きで好きで、自分を振り向いてほしくて、自分を気にしてほしくて、必死でアピール。それは「男に声をかけてほしくてそう振舞っている」と周囲に誤解され、やたらと男子から声をかけられるが、かんじんの弘子先輩は知らん顔。まあ、知らん顔ということではなく、愛想よく声をかけてくれるけど、それは他の後輩と同じ。これだけアピールしてもわかってくれないのは、男の人が好きだから……?

実は弘子は筋金入りの同性愛者。彩香のことを以前から好きなのだが、彩香は自分のことを「先輩として」慕ってくれているだけだと思っている。ノンケの無自覚な行為に振り回されてはいけないと、必死で自制しているのだ。

男女の恋愛に比べて、同性愛者は少ないから、たいへん厳しいものだろうとは思うが、こうしたすれ違いはどんな恋愛でも起こり得る、一般的なものでもある。とにかく、お互いに相手を好きなことは、読者は最初からわかっているが、それが伝わらないのがもどかしくもおかしく、実にハラハラしつつ、惹きつけられるのである。

しかし1巻の最後で、二人は思わぬところで出会ってしまう。ええっ、どうなる!? どうする!? というところで終わりとは殺生だ。その上2巻はまだ発売されていない。ひどい!(もちろん誉め言葉である)

2巻は2022年7月21日刊予定。座して待とう。



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あとがきも芸である。「おくることば」(全3巻)

  • 町田とし子「おくることば」1~3(シリウスコミックス)

1巻は2017年11月9日刊、3巻は2018年11月9日刊。青春ミステリー&サスペンス。表紙の絵柄から、ファンタジーものを想定してしまったが、全く違うジャンルの作品だった。大今良時と混同したのかな。

物語は、男子高校生の佐原が交通事故で死ぬところから始まる。幽霊(?)は現世にとどまり、自分は千秋に殺されたのだと言い、その真相を皆に伝えようとする。が、彼の姿は誰にも見えず、彼の声は誰にも聞こえない……というもの。実は佐原が事故に遭った場所は、以前、みったんこと飛鳥実知が事故で死んだ場所でもある。みったんは小学生だった頃の佐原と千秋が可愛がっていた子だった……

佐原の死がまずミステリアス。漫画を読んでいる限りでは自分で道路に飛び出したように見えるが、本人は殺されたと言う。それとは別に、自分が殺した、と自責の念に駆られる人がいる。異常さを感じ取り、真相を解明しようと動く人間が出てくる。これが縦軸としてのミステリー。

絵に描いたようにいい人だと思っていた人に実は裏があったり、イヤな奴だと思っていた人が案外そうではなかったり、キモいオタクだと思っていた人が想像以上にキモかったりと、人物造形も二転三転する。幽霊は人の行けないところへ行き、人が聞けない話を聞くことができるが、誰にも伝えられない。人間で事件を勝手に調査している人は、行きたいところへ行けないし、会いたい人に簡単には会えない、という設定の妙がある。

こうした点が絡み合って、事件はサスペンスフルに展開していく。事件の真相は、恐らくほとんどの読者が想像することはできない。話が進む中で、主要な登場人物が自分に向き合わざるを得なくなり、相手との関係性も見直すことになり、「気づき」を得ていく。このあたりは青春ドラマでもある。

ダラダラと引き延ばさず、3巻で完結するスピーディな展開もいい。

いろいろと欠点を指摘することはできるが、ストーリィ展開は概ね満足している。

ただし、ひとつだけ、はっきり言っておきたいことがある。1巻最後のあとがき、ありゃなんだ?

「この作品は、5年ほど前に1話目のネームを描いたきりそのまま投げ出してしまっていた作品でした」
「担当さんとの初打ち合わせに何も用意していなかったのであわてて昔のネームを持っていく」
「当時の自分がどんな心境で描いてたのかわかりません」

謙遜も入っているのだろうが、作品を気に入った読者にしてみたら、作者には魂を込めたと言ってほしいわけで、こんなことを言われて応援しようという気持ちになるわけがない。

3巻にもあとがきがある。ここではあろうことか、没にしたストーリー展開を述べてしまっており、Amazonのレビューで「こちらの方がよかった」と書かれる始末である。

こんな間抜けなあとがきは見たことがない、と言いたいところだが、残念ながら、プロになったばかりの人の作品には時たま見られる。同人誌時代のノリをそのまま持ち込んでいるような印象である。「あとがき」もひとつの作品であり、ただ思ったことを書けばいいのではないこと、芸のひとつも見せられないのなら書くべきではないことを、声を大にして言っておきたい。



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「目黒さんは初めてじゃない」8(新刊)

  • 9℃「目黒さんは初めてじゃない」8

2022年6月20日刊。発売当日に入手。8巻から電子版のみとなった。恐らく売り上げがイマイチだからそういう扱いになったのだと推察するが、これは過度期の出来事。そう遠くない将来、書籍は一部の学術書などを除き、すべて電子書籍となる日がくるはず。その時には書籍の価格はぐっと下がるはずだ。期待しよう。

表紙の絵を見るとつくづく思うが、一巻の頃の目黒さんは、可愛いと言えば可愛いけど、目が濁っている感じがする。最近の目黒さんは本当にきれいになった。古賀くんと付き合うようになって、心が成長していることが表情に出ているようである。単に作者の画力が上がっているだけなのかも知れないが。

本巻では同じクラスの辺見さん、後輩の伴場恵鈴(ばんば・えりん)、伴場志弦(しづる)ら新しいキャラクターが登場する。恵鈴・志弦の兄弟は単純に「うざい」と思う。自分だったら無視するか怒鳴って追い返すだろう。が、目黒さんは彼らの力になろうとする。これは今までの目黒さんには見られなかったことで、彼女も変わろうとしているのだ。そして、その気持ちは二人には伝わったようだ。

ところで、藤井さんは前からいるよね。どんな人だったかな。あとで読み返してみるか。



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「島さん」3(最新刊)

  • 川野ようぶんどう「島さん」3(アクションコミックス)

2022年4月27日刊。既に2ヵ月近く経ったので新刊とは言いにくいが、最新刊であるのは間違いない。

完全な人情噺だなあ。島さん自身が派手な活躍をするわけではないところがいい。

この中で一番惹かれたのは「赤井さん」だ。推しを推している人の姿は尊い。大人がそれを認められる世の中になったことは本当に良かったと思う。



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「SAL」

  • Sal Jiang「SAL」(アクションコミックス)

2022年4月21日刊。

今朝の東京新聞のコラムでブルボン小林がSal Jiang(サルチャン)の「白と黒」を紹介していた。知らない名である。絵柄がきれいで惹かれるものがあるが、紹介された内容だけでは迷うものがあった。調べてみるとほかにも著書はあり、本作は短編集なので、これならどういう作家かがわかるだろうととりあえず購入することにした。

さっそく読んでみて衝撃を受けた。

改めてAmazonの紹介記事を読むと「GLコミック新時代の旗手」とある。GLコミックとは初めて聞く言葉だが、恐らくGirls Loveの意味であろう。すべての作品が女性×女性の恋愛を描いたものであった。

女性×女性の恋愛漫画を、恐らく初めて読む。異性間の恋愛だって、好きになったからといってそれを簡単に口に出せるものではなく、思い切って告白しても成就するとは限らない。が、同性間の場合はその何倍も高い敷居があるだろう。相手も同性愛者である可能性は少なく、そうでない場合、変態扱いされるか犯罪者を見るような目で見られるリスクを覚悟しないといけない。だからこそ、より一層その「思い」はピュアなものであるように思われる。

本作の登場人物たちは、それぞれに、とても可愛い。

あと、本書に掲載されている作品は「彩香ちゃんは弘子先輩に恋してる」番外編以外は同人誌時代の作品だそうで、絵といい話の展開のさせ方といい、近年の同人誌はどれだけレベルが高いのかと、そのことにも驚く。



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「もっと幸せな恋、集めました。」

2020年3月12刊。「幸せな恋、集めました。」の続編。短編集だが前作より少し長い話もある。24話所収。

前作同様、読んでいる方も幸せになれる話だ。不幸や悲恋を描かずにこれだけの話を作るのはすごい才能だと思う。

ところで、もっとたくさんの話が収録されているのかと思ったが、「これだけ?」と物足りなく思った。マンガワンでの最新話は、現在、153集である。ひとつの集には3~4話ほど収められている。ということは、現在は400~500話くらいのストックがあるはずなのだ。

「幸せな恋、集めました。」「もっと幸せな恋、集めました。」を合わせても52話。とすると、単行本にしてあと8~10巻分くらいということになる。そもそもこの単行本が出てから2年以上経つのだから、当たり前だ。

マンガワンに行けば読めるのだからいいだろう、ということにはならない。単行本として手元に置いておきたいのだ。だから過去の単行本がもっと売れてほしいのである。そうすれば続刊の話も出てくるだろうから。



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