鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「ひらけ駒! return」2

  • 南Q太「ひらけ駒! return」2

ひらけ駒! return 2巻

ひらけ駒! return 2巻

仲間にもまれて少しずつ強くなっていく宝。赤井シュウヤは小5で道場四段。金井リカは小5で道場二級。強い(はずの)赤井が小1に負けた! 青山ヒロ、小1、道場三段。金井リカが青山に挑戦し(一枚落ちながらも)勝つ。宝はあと1勝で一級というところで苦手の中目黒と当たるが、見事初勝利をあげ昇級する。

その後初段に昇段。「ひらけ駒!」登場時は一級だったから、既に追いついたことになる。

そして突然中学生になった宝が登場するので、え? と思うのだけど、なんと、「ひらけ駒!」の後日談というか、待望の「その後」の話が描かれるのだ。

研修会のC2に上がった段階で奨励会の試験を受けるが、三連敗して負けてしまう。宝は泣いてプロへの道を断念する。一方、仲間が続々と奨励会に進んでいて、赤井は三級、白鳥兄弟はともに初段、青山は小4で五級。リカは六級。敗戦の傷の癒えた宝は、再び奨励会を目指す。

最終回は二十歳を過ぎて一人暮らしを始めた宝の部屋へママが掃除に行くところから始まる。夜は二人で居酒屋へ……というのはママの妄想で、現実の宝はまだ中学生だが、いってきます! と言って家を出るところで終わり。ちゃんと最終回が描かれて(そしてそれを読むことができて)よかった。

なおあとがきによると、「ひらけ駒!」は著者初めての週刊連載で、かなりキツく、約二年でダウン、その後半年ほど何もできない状態になってしまったとのこと。別にLPSAは関係なかったな。



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「ひらけ駒! return」1

  • 南Q太「ひらけ駒! return」1

ひらけ駒! return 1巻

ひらけ駒! return 1巻

前作の(不本意な)終了(2012年)から約5年経過後、講談社の新Web雑誌「BABY!」(その後「ベビモフ」に改名)に2017年から2019年まで連載された作品。全2巻。

ようやく続編が描かれたかと楽しみに読み始めたのだが、なんと「ひらけ駒!」の続編ではなく、前日譚である。小学3年生の宝くんが将棋に興味を持って道場に通うようになり、少しずつ強くなっていくところ。1巻終了時点で3級。まあ、これもいいか。たくましく、カッコよくなった宝くんもいいけど、この宝くんもかわいくていい。

金城リカという、友達というか、ライバルというか、親しい仲間が登場。最初は男の子だと思ったら、女の子だった。まあ、小学生くらいだと、服装や喋り方で敢えて区別をつけないと、見かけはそう変わらないからな。

宝ママはあまり変わらない。というか「ひらけ駒!」で時間の経過に従って、本当は少し年を取るはずなんだけど、変わっていないから、ここでも同じということ。



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「ひらけ駒!」8(最終巻)

  • 南Q太「ひらけ駒!」8(モーニングコミックス)

ひらけ駒! 8巻

ひらけ駒! 8巻

ああ、やっぱりなあ、と思った。

なにがやっぱりなのかというと、あとがきに「また9巻でお会いできたらうれしいです」と書かれているのだ。2012年の12月12日付である。この時点では作者は(編集側も)連載を終わらせるつもりはなく、9巻がいずれ出るものと思っていたのだ。しかし、8巻の発行後、なんらかの理由でそれをやめてしまったということだ。

不人気ゆえの打ち切りとするなら、少なくともそう作者に宣告され、作者もわかって筆を置くはずである。作者の病気などであれば、治ってから連載を続ければいいことだ。一説によれば、LPSA日本女子プロ将棋協会)をかなりのページ数を割いて紹介したことを日本将棋連盟が問題視し、取材を拒否したため連載が続けられなくなった、というのだが、本当だろうか。いささか信憑性に欠ける話であるように思う。

「ひらけ駒!」1巻の感想で、次のように書いた。

モーニングに2011~2012年に連載されていた作品。モーニングはずっと購読しており、この作品も愛読していた。が、宝くんと色っぽいお母さんのことはよく覚えているのだが、ストーリーの展開がどうだったのかまるで記憶にない。最後は尻切れトンボで終わったような記憶もある。最近「ひらけ駒!」載ってないなー、とよく思っていたから。

自分は正しかった。作者自身も最終回だとは思っていない回が結果的に最終回になり、連載が止まってしまったのだから、「最近載っていないけどどうしたんだろう」と思って当然だ。

さて、本巻では宝くんと同い年の高志くんが登場。将棋会館への送り迎えに付き添った高志パパが、子供の熱意に引きずられ、自分も将棋を指すようになり、43歳にして初段を目指す話である。一度道場で宝と指すだけで、基本的には宝とは関係のない話である。この作品にはこうしたサイドストーリー的な話が多い。群像劇というのとも少し違うが、将棋が好きで将棋を指しているいろいろな子や、その親たちを描きたかったのだろう。

本巻には、2巻で登場したきりのみずきちゃんが再登場する。みずきちゃんは2巻当時は小学二年生で、すごく強い。兄がいて、研修会に行っていて、五段なのだそうだ。お兄さんから教えてもらっているんだね、だから強いんだね、と言われるが本人は上の空。父親は兄の成績には一喜一憂するが、みずきが大会で優勝してもあまり嬉しそうではない。みずきちゃんは研修会に行かないの? と訊かれて「お兄ちゃんを追い越しちゃうから」と答えて終わり。

そのみずきちゃんは本巻では3年生だが、ある大会でプロの女流一級に勝つという大金星を挙げる。しかし(相変わらず)お父さんは褒めてくれないし、大阪に連れて行くという約束も「お兄ちゃんの奨励会が……」などと言って果たしてくれない。いつか、パパは私のことを褒めなくちゃいけなくなる時が来る、と(悲しい)決意をする。

最終話は宝ママの話。宝の力になってやりたいが、どうすればいいのかと悩む。この中で宝は、研修会でC1になったら奨励会の試験を受ける、と宣言する。まあ、ある意味、最終回らしい話といえなくもない。けど、これからの宝の成長する様子を(そして、それを見守るママの様子も)見たかったなあ……。


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「ひらけ駒!」7

  • 南Q太「ひらけ駒!」7(モーニングコミックス)

ひらけ駒! 7巻

ひらけ駒! 7巻

「女王」を決めるマイナビオープンが6巻の最後で始まったのだが、本巻では大部分にわたってその闘いの様子が描かれる。棋盤上の闘いだけでなく、それぞれの棋士の人生にも触れるようなことが描かれ、棋士は(まして女性棋士は)大変だなあと思わされる。

描かれるのは予選だけで、本選が始まったところでこのエピは終わるのだが、どうも壇レイ子が勝ち上がり、喜連川はるな女王への挑戦権を獲得したようである。「夢は男性棋士に勝てる女性棋士になること」という喜連川はるなの言葉でこの章が終わる。

宝は研修会に入る。マイナビオープンをママと一緒に見に行くつもりだったが、「やっぱりやめる」と言い出す。興味はあるけど「ママと一緒なのがちょっと」なのだそうである。あんなに仲が良かったのに、だんだん成長してきたんだねえ。

最後の涼クンのエピソード、相手は悪気があってしたわけではなく、むしろ親切だったんだろうに、罪悪感に苦しむ涼クンの姿は見ていてつらかった。結局、正直に話したようだね。そうだ、それが一番いい。



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「ひらけ駒!」6

  • 南Q太「ひらけ駒!」6(モーニングコミックス)

ひらけ駒! 6巻

ひらけ駒! 6巻

本巻では女性が主役である。

水嶋プロが教室を辞めることになり、その紹介で宝ママは女流棋士の壇レイ子二段(LPSA日本女子プロ将棋協会)に教わることになった。レイ子は子弟ではなく友達のような関係でいたいと、カフェを借り切ってサロンのようなものを開催する。誘われて何の気なしに参加した宝ママは、そこに女の戦いがあることを知る……

壇レイ子のほか、日本将棋連盟所属の女流棋士として片桐竜子二段、鶴田奈々初段、喜連川はるな女王、LPSA所属の篠原梨緒初段などが登場。それぞれの葛藤が描かれる。男兄弟と差別されて育ち、褒めてもらえなかった子、容姿(だけ)でちやほやされる人、できるようになると足を引っ張られる人など、女性特有の悩みは将棋界だけではないのだろうが、一芸に秀でた棋士であっても、こうした問題と無縁ではいられないのだ。

今あげた名はもちろん架空の人物であろうが、モデルになった人がいるのではないかと思う。こうしたエピソードが書かれている点で本作は出色の出来栄えだといえるのではないか。

宝くんの登場シーンはわずかだが、四段になった。そしてママに、研修会に入りたいという決意をママに告げる。いやー、これからが楽しみだ。



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「ひらけ駒!」5

  • 南Q太「ひらけ駒!」5(モーニングコミックス)

ひらけ駒! 5巻

ひらけ駒! 5巻

将棋教室対抗戦の巻。団体戦である。

宝のチームは諸般の事情で上のクラスにエントリーさせられたため、なかなかいい成績をあげることはできなかったが、涼くんと協力しながら試合を続けていくあたり、なかなか手に汗を握る展開である。

宝のことばかりでなく周辺の人のこともきちんと書き込まれているのがいい。特に今回は、以前にも軽く登場したたくくん(年中組)の試合ぶりにページが割かれている。特に宝とは交流がないが、この子がなんとも言えずかわいい。この後の成長を見守りたい気分になる。


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「ひらけ駒!」4

  • 南Q太「ひらけ駒!」4(モーニングコミックス)

ひらけ駒! 4巻

ひらけ駒! 4巻

前巻の最後で負けが込んでスランプに陥ってしまった宝を励ますため、宝ママが千葉まで遠征し、そこの大会に宝を参加させる。三段以下限定の大会。四段五段に勝つのは難しくても、同じ段位(以下)ならそうそう後れを取ることはないだろうというわけだ。

この大会での宝の奮闘ぶり(とそれを見守る宝ママの様子)が大半を占めるが、結果、宝は優勝。指導に来たプロの棋士から「筋がいい、ぜひ奨励会を目指してほしい」と言われてスランプを脱出する。

なおここで重大な秘密(?)が暴露される。他の父兄から、宝くんが強いのはお父さんの影響ですか、と訊かれた宝ママは、「父親はいないんです」と答えている。宝には父親がいないのだ。理由は不明。離婚か、死別か……。もしかしたら、初めからいなかった可能性もあるかも。

地元の小学生大会で大樹くんと再会。大樹くんはすっかり宝になついていて、片時もそばを離れない。親が意識しているように子供同士もライバル意識を持っているというわけではないのだ。なおここで宝は大樹と指し、勝っている。



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