鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

2011-01-01から1年間の記事一覧

毎度ばかばかしいお話で「幕末時そば伝」

鯨統一郎、「幕末時そば伝」(実業之日本社文庫) 落語である。「粗忽長屋」「千早振る」などが文章になっている。設定がちょっといじってあって、導入部分を膨らませてはいるが、途中からサゲ(落ち)はほぼ元の落語そのまんまである。いや、落語として聞い…

「間違いだらけのクルマ選び 2012年版」

徳大寺有恒、島下泰久、「間違いだらけのクルマ選び 2012年版」(草思社) 20代の頃は自動車が欲しくて、欲しいけれど高いし、高い割に種類(車種)がべらぼうに多く、どういう基準で選べばよいのか、自分にはどれが向いているのか、知識がないと話にならな…

2012年1月の新刊

1月4日 奥田英朗、「用もないのに」(文春文庫) エッセイらしい。用もないのに (文春文庫)作者: 奥田英朗出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2012/01/04メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 2回この商品を含むブログ (11件) を見る 瀬尾まいこ、「戸村飯店青…

衝撃作「彼女がその名を知らない鳥たち」

沼田まほかる、「彼女がその名を知らない鳥たち」(幻冬舎文庫) 一言でいえば、衝撃的な作品だった。面白かったとか悲しかったとかいう以前に、ハンマーで胸の奥をぶっ叩かれたような。すごく感動した、ということは時々あるが、衝撃を受けることは珍しい。…

不思議な連作短編集「田村はまだか」

朝倉かすみ、「田村はまだか」(光文社文庫) 短編集。第一話が表題作で、第二話は別の話かと思った。登場人物に覚えがなく、シチュエーションも全く別だったからだが、後半でつながることがわかった。そうわかってみると、これは連作短編集なのだった。同窓…

往年のみずみずしさがよみがえる「神々の消えた土地」

北杜夫、「神々の消えた土地」(新潮文庫) 亡くなられたことで最近北杜夫の本が書店で目につくようになった(少し前まで、よほど大きな書店でないと「楡家の人びと」すら見かけなかった)。あちこちで見た北杜夫の追悼文では「ユーモア文学」に焦点を当て称…

なにがこんなに迫ってくるのか「猫鳴り」

沼田まほかる、「猫鳴り」(双葉文庫) 「九月が永遠に続けば」で衝撃のデビューを果たした沼田まほかるの第三作。本作はミステリーでもサスペンスでもない。三篇から成る連作短編集で、主人公は猫。時間差をおいて猫の生涯を追いかける仕掛けになっている。…

ブンガク的でよくわからなかった「乳と卵」

川上未映子、「乳と卵」(文春文庫) 乳と卵(らん) (文春文庫)作者: 川上未映子出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2010/09/03メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 50回この商品を含むブログ (68件) を見る川上未映子の作品は芥川賞を取った時から気になってい…

2011年12月の新刊

12月3日 鯨統一郎、「幕末時そば伝」(実業之日本社文庫) うう、面白そうだ……幕末時そば伝 (実業之日本社文庫)作者: 鯨統一郎出版社/メーカー: 実業之日本社発売日: 2011/12/03メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 2回この商品を含むブログ (8件) を見る 西…

「ZUCCA×ZUCA」2

はるな檸檬、「ZUCCA×ZUCA」2(モーニングコミックス) ZUCCA×ZUCA(2) (KCデラックス モーニング)作者:はるな 檸檬発売日: 2011/11/22メディア: コミック11月22日に2巻が出た。地元の書店では見つけられなくて、出張先で見つけて入手。別に宝塚が好きなわけ…

バブリーな恋愛短編集

甘粕りり子、「長い失恋」(講談社文庫) すべての恋愛は、長い時間をかけて失恋に向かっている。ホテルを舞台に、男と女の絡み合った愛と欲望を描く10編。読み始めたのはいつだったか、ずいぶん以前だったのだが、ようやく読了した。あまり甘酸っぱい小説は…

奇妙な味わいの連作ミステリー

蒼井上鷹、「堂場警部補の挑戦」(創元推理文庫) なんとも奇妙な作品である。蒼井上鷹といえば奇妙に決まっている、と言ってしまえばそれまでだが、ここではダールに対する評のようなポジティブなものではなく、他に書きようがなくて書いている。何とも評価…

空を飛ぶことを夢見た少年少女

加納朋子、「少年少女飛行倶楽部」(文春文庫) 加納朋子だがミステリーではない。中学生が飛行倶楽部なる怪しげなクラブを立ち上げ、紆余曲折を経てついに飛行を実践するまで。初飛行のあとにもうひと波乱あるけど。絵に描いたような青春小説で、こういう話…

「鬼灯の冷徹」3巻

江口夏実、「鬼灯の冷徹」3(モーニングコミックス) 鬼灯の冷徹(3) (モーニング KC)作者:江口 夏実発売日: 2011/11/22メディア: コミックデビュー前から注目しているが、人気が定着してきたようだ。併録されている「地獄の沙汰のあれやこれ」が抜群に面白い…

ヘビーなヒューマンドラマ

沼田まほかる、「九月が永遠に続けば」(新潮文庫) どこの書店に行っても目立つ所に平積みになっている上、よく行く書店ではPOPまで出ていた。作者の名前が発音しにくいし、書名は平凡だが、そんなに面白いのかと気にはなっていた。正直に言うと、POPには「…

読み応えあり

佐藤正午、「身の上話」(光文社文庫) 佐藤正午は昔読んだことがあってその後長い間名前を思い出さなかった。ふと書店で目について、読め! というオーラを発していたように感じたため、思わず買ってきてしまった。実はパラパラと目次をめくってみて、短編…

峻烈なエッセイ集

佐藤真由美、「恋する四字熟語」(集英社文庫) 四字熟語といってもお勉強の本ではなく、四字熟語をタイトルにしたエッセイ集。恋愛がテーマのものが多く、大人の男女であればごく普通の行為でも、一般論ではなく自分の体験談として語られると結構生々しい。…

ガリレオシリーズ第4弾

東野圭吾、「ガリレオの苦悩」(文春文庫) ガリレオシリーズ第4弾、内海薫刑事登場。この小説をTVドラマ化するに当たって、TVオリジナルで内海薫という刑事を登場させたが、のちに小説の方でも内海薫が登場することになった、という話は聞いていたが、初登…

無類の本好きだった児玉さん

児玉清、「寝ても覚めても本の虫」(新潮文庫) 児玉さんが亡くなられてから書店に並ぶようになった(ようなきがする)。こんな著作もあったのかと購入。児玉さんがたいへんな読書家であったのは有名な話で、翻訳を待ちきれず原書で読む、というエピソードも…

ちょっと泣いちゃった

秦建日子、「ラスト・プレゼント」(幻冬舎文庫) 主人公の明日香はキャリア・ウーマンで離婚歴あり。膵臓癌で余命3ヵ月の宣告を受けた彼女の望みは、娘と過ごすことだった……。癌による死は、ある日突然やってくるわけではなく、徐々に身体が衰弱し、本人は…

映画より破壊的

東直己、「バーにかかってきた電話」(ハヤカワ文庫) 映画「探偵はBARにいる」を観て原作を読んでみる。主人公は原作よりハチャメチャでちょっと危ない。面白かったけど、このシリーズを今後も読み続けるかは微妙。次の映画を観たらまた読むかも。バーにか…

2011年11月の新刊

この月も面白い本が次々と出た月だった。読む方は一人だからかなわん。 11月4日 秦建日子、「ダーティ・ママ!」(河出文庫) 買いました。ダーティ・ママ! (河出文庫)作者: 秦建日子出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2011/11/05メディア: 文庫 クリッ…

2011年10月の新刊

10月5日 北杜夫、「マンボウ家族航海記」(実業之日本社文庫) 過去のエッセイから、家族旅行にまつわるものを抜き出してまとめ直したもの。娘の書いたあとがきを読むと、泣ける。マンボウ家族航海記 (実業之日本社文庫)作者: 北杜夫出版社/メーカー: 実業之…

2011年9月の新刊

9月7日 金沢京子「禁断の投稿ドキュメント(41) 銀座美人ホステス 妖艶の蜜戯」(大洋文庫) 作者は元銀座のホステス。前の著書は、銀座を良く知る作者による銀座の女の生態……が描かれているのかと思ったら、単なるエロ本(いや、性行為の煽情的な描写はフ…

2011年8月の新刊

8月4日 柴田よしき、「神の狩人 2031探偵物語」(文春文庫) 長編だとちょっと買うのを躊躇するのだが、短編(それも連作短編)となれば、買わずにはいられない。神の狩人―2031探偵物語 (文春文庫)作者: 柴田よしき出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2011/08…

2011年7月の新刊

7月4日 秦建日子、「殺してもいい命」(河出文庫) 雪平夏見シリーズ第三弾。即買い。殺してもいい命---刑事 雪平夏見 (河出文庫)作者: 秦建日子出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2011/07/05メディア: 文庫 クリック: 2回この商品を含むブログ (20件) …

2011年6月の新刊

6月1日 徳大寺有恒、「ぼくの日本自動車史」(草思社文庫) 草思社文庫なんて創刊されたのか?文庫 ぼくの日本自動車史 (草思社文庫)作者: 徳大寺有恒出版社/メーカー: 草思社発売日: 2011/06/02メディア: 文庫この商品を含むブログ (2件) を見る 6月4日 明…

2011年5月の新刊

5月6日 酒井あゆみ、「売春という病」(河出文庫) 酒井あゆみの業界での立ち位置に興味がある。売春という病 (河出文庫)作者: 酒井あゆみ出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2011/05/07メディア: 文庫 クリック: 2回この商品を含むブログ (2件) を見る 5…

2011年4月の新刊

4月5日 五十嵐貴久、「年下の男の子」(実業之日本社文庫) このタイトルは反則だ。気になって仕方がない。五十嵐貴久は以前一冊だけ読んだことがあったはずだが、どうだったかな……年下の男の子 (実業之日本社文庫)作者: 五十嵐貴久出版社/メーカー: 実業之…

2011年3月の新刊

3月4日 斎藤貴男、「言論自滅列島」(河出文庫) 言論自滅列島 (河出文庫)作者: 斎藤貴男,鈴木邦男,森達也出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2011/03/04メディア: 文庫 クリック: 1回この商品を含むブログ (2件) を見る 涌井学、「岳」(小学館文庫) 映…