鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

不思議な連作短編集「田村はまだか」

短編集。第一話が表題作で、第二話は別の話かと思った。登場人物に覚えがなく、シチュエーションも全く別だったからだが、後半でつながることがわかった。そうわかってみると、これは連作短編集なのだった。

同窓会の二次会で、遅れてやってくる田村を待ちつつ飲んでいる面々。待っている間に、そこにいる人の内面を一話ごとに描いていくというスタイルで、そのため待っている人と待たれている人の関係が一話ごとにリアルになっていく。同窓会の二次会なんて有り触れた設定だが、この話の運びは斬新。

ただし、本の裏表紙にある惹き文句「ラストには怒涛の感動が待ちうける」とあるのはいい加減にしてもらえないものか。最近は編集者のレベルが低いのか、何の影響を受けているのかわからないが、これに類するキャッチコピーをよく目にするのだが、読む前にハードルを上げてしまってどうする。事前にどんな話かは知りたいと思うが、感動するかどうかを知りたいとは思わない。実際、そんなに感動的なラストなのかと思って読んだがそれほど感動的ではなかった。はじめから感動的だと聞いていなければ、あるいは感動したのかも知れないが。

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