鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「僕の小規模な生活」2

改めて手に取ると、安定した作品である。絵柄も内容も安定しているし、作者の僻み節は相変わらずだが暗くはないし、夫婦仲も良い(ただ時折見られるDVの描写が、雑誌掲載時は気にならなかったが、今は多少気になる)。編集部からのサジェスチョンもあるのだろうが、「モーニング」から連載がもらえたり、他社からも声がかかるようになって生活が安定してきたのが大きいのではないか。

本巻では、出版社のパーティーにいろいろ参加したり、編集部から接待うぃ受けたことが特に大きく取り上げられている印象である。変わりばえのしない日常の中でネタになる話だとは思うが、これまでそうしたことがなかったので、ちょっと誇らしく感じているようなのが微笑ましい。

同業の奥浩哉との出会い。恥を忍んで申し上げるが、僕は奥浩哉は「いぬやしき」という作品を知っているので、名前を見て「ああ、あの……」とは思ったのだが、「GANTZ」の作者だということを今の今まで知らなかった。作中、GANTZについて詳しい説明があるのを見ても、単に人気の漫画・映画について一緒に盛り上がった感じなのかと思ったのだった。そういうことだったのか……

さて、最も笑ったエピソードは、作者が「はじめの一歩」を当初は熱心に読んでいたのだが、途中で離脱してしまい、どこまで読んだかわからなくなったので復帰できないと講談社の編集者に言ったところ、最新刊までも全部プレゼントしてもらった。そして出て来た感想が「まだ一歩は宮田くんと戦ってなかったのかー!」

モーニング掲載時にこれを見てものすごく受けて、以来、あちこちでこのセリフを使わせてもらった。いつまで経っても使えたところがなんというか……

改めて計算してみると、これが掲載されたのは2008年の秋くらいだと思うので、最新刊は84巻か85巻。この時の福満に、12年後も連載は続いていて、単行本は128巻を超えるけど、まだ一歩は宮田君と戦っていないよ、と言ったらどんな顔をするだろう。



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