鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「ごあいさつ」

  • 田島列島「ごあいさつ」(モーニングコミックス)

田谷野歩および田島列島の短編集。2019年12月9日刊。

田島列島は知っている、「子供はわかってあげない」は素敵な話だった。ふと、田島列島って男、女? それとも非公開なんだっけ? と思って検索してみたら、2015年にマンガ大賞に2位入賞した時に紹介されていたが、そこで、最初のペンネームが「田谷野歩」だったと知って驚いた。

田谷野歩は覚えがある、モーニングに何度か短編を掲載していて、その作品が印象的だったからだ。今後も作品を読んでみたいと思ったことを覚えているが、そうか、田谷野歩が田島列島になったのか。

というところまで理解して、本作をさっそく購入した。前半の作品は覚えがある。

人物の表情などはシンプルな線で描かれ、可愛らしい顔をしているが、抱えている問題は意外とシリアスだったりする。また、性格的にちょっと奇矯な人が少なからず登場する。あまり定規を使わず、手書きで書かれた背景がとてもマッチする。

「透明感がある」という形容がとてもしっくりくる作風である。

今改めて短編を読むと、一話完結では登場人物の心情を描き切れていないように思う。もう少し長い話でじっくりと描かれたものを読んでみたい、と思わせる。