鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「戦国小町苦労譚」10

  • 原作・夾竹桃、平沢下戸、作画・沢田一「戦国小町苦労譚 農耕戯画」10(アース・スターコミックス)

2021年12月10日刊。「デジタル版コミックアース☆スター」2021年6月~10月掲載。

静子が持ち込んだ武器は、①カプサイシン(辛み成分)爆弾で、目や鼻、口などの粘膜につけば耐え難い苦痛を与え、②ロケット花火で、当時の人には聞き慣れない炸裂音で攪乱し、③通常の矢、以上の波状攻撃で浅井勢を集団ヒステリー状態に陥らせた。矢尻にはカビや雑菌を付着させ、軽い傷でも致命傷にさせるもの。

人を殺すのにきれいもきたないもないかも知れないが、静子の戦法は正直なところ、かなりダーティーなものだ。だが、勝たなければ意味がない。ある意味、静子は腹を決めたのだろう。

姉川の合戦では織田優位に進み、浅井・朝倉を退けたが、織田軍の被害も大きかった。さて、次は大好き、宇佐山城の戦いである。重要な一戦の割に、意外と省かれがち。大河ドラマ麒麟がくる」でも描かれなかった。史実では浅井朝倉連合軍に延暦寺の僧兵を合わせて約3万、守る森可成は約1000、これで森は討ち死にする。が、それを食い止めんと、静子勢7500がここに加わった。

戦いが始まる。これまで静子は、武器を制作したり、助言をしたり、その結果大勢の人を死に追い込んだかも知れないが、自らの手で人を殺したことはなかった。が、この戦では直接何人もの敵の武将を倒していく。これも、これまでから変ったこと。静子勢は大軍を前に優位に進めていたが、大軍ゆえに簡単には片が付かない。ついに敵が盛り返し、静子勢が劣勢に追い込まれる。それを助けるために森勢が加勢するが、森は打ち取られてしまう。やはり歴史は変わらないのか……



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