- 原作・夾竹桃、平沢下戸、作画・沢田一「戦国小町苦労譚 農耕戯画」6(アース・スターコミックス)
2020年4月11日刊。「デジタル版コミックアース☆スター」2019年10月~2020年2月掲載。
義昭を奉じて上洛した信長は京の治安維持のため警ら隊5000を置き、その総指揮を静子に命じる。現代の「技術」はあまり関係なかったが、生真面目で思い悩む可児才蔵に、「完璧を目指すよりまず終わらせろ」という、マーク・ザッカーバーグ(Facebookの創始者)の言葉を贈ってよい方向にまとめたのが、現在の「知識」を生かしたことになるか。ひとこと言っただけで人が変わるなら誰も苦労はしないのだが。
とにかく信長の京での人気は鰻登り。そんなところへ仕官を希望してきたのは、前巻最後に登場した、静子のことを知っているぽい男二人(足満、みつお)だった。職人として採用されたが、これに五郎を加えた三人を濃姫が専属の料理人として連れて行ってしまう。濃姫は(静子の作った)本来この時代にはないはずの野菜を与えて料理を命じ、命じられた男はさくさくとチャーハンを作る。
ところで本作ではたびたび米が出て来たが、それは赤米か黒米だったらしく、静子はようやく白米の育成に成功。信長に試食してもらい、量産の許可をもらう。
静子の自宅に濃姫が、足満、みつお、五郎の三人を連れてやって来る。足満は、静子がかつて家族同然に接した足満おじさんだった。みつおの乗っていたバスが事故を起こし、その場に足満と静子が居合わせた。その時にタイムスリップが起きたらしい。
足満は記憶喪失の間者で、気の毒に思った静子の家が引き取って一緒に暮らしたとのことだが、もしかして足満はもともと戦国時代に人間で、タイムスリップで現代へ行ったのでは……?
静子の提案で、二人は料理人ではなく、みつおは織田領で展開する畜産の牽引を、足満には神主をやってもらうことになる。その了解を取りに足満が濃姫のところへ行くと、濃姫は問いかける。お前は静子と同じ世界から来たというが、静子とは異質なものを感じる、と言う。静子が知らないか、知っていても使いたがらない知識を、足満が持っているのではと。それは、人を殺す技術――
タイムスリッパ―が他にいて、その人たちが接触し始めると物語が大きく動く。これは「信長協奏曲」でもそうだったが、今回はもともとの知り合いだった。その上、多重タイムスリッパーの疑いも!?