鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「戦国小町苦労譚」1

  • 原作・夾竹桃、平沢下戸、作画・沢田一「戦国小町苦労譚 農耕戯画」1(アース・スターコミックス)

2017年12月15日刊。「デジタル版コミックアース☆スター」2017年5月~9月掲載。原作はライトノベルで1巻は2016年1月刊。

平沢は原作ではイラストを担当している。今回の作画にあたってキャラクター造形は平沢のイラストを下敷きにしたと思われ、そのため原作者としてクレジットが挙がっている。

過去にタイムスリップした現代人が、現代の知識を使って無双する……というのは、「信長協奏曲」「信長のシェフ」あるいは「JIN-仁-」や「ジパング」など枚挙に暇がない。「アシガール」もこの系列に入るか?

こうした作品は、主人公がいかに過去の世界に馴染んでいくか、もしくは馴染めずにいるか、といった点に主眼が置かれることが多いが、本作では、農業という「技術」が戦国時代と現代とでいかに違うか、偶然にも主人公はタイムスリップする際に現代の「種もみ」を一式持っていたのだが、こうした「道具」をいかに活用していくのか、歴史のお勉強的な側面がある。

しかし、時代劇を見ても大河ドラマを見ても、農業の歴史なんてやらないので、極めて興味深い。

なぜか戦国時代にタイムスリップした静子は、うっかり織田信長の前で「信長」という緯を口にしてしまい、殺されかけたところを、「農業で役に立つ」と言って許された代わりに、取り潰すしかない村の貧田で豊作を実現させろとの命を受けてしまう。

まずは村人の食生活を改善させるために、生育の早い薩摩芋を植え、鹿を捕らえて肉を食べ(させ)、堆肥を作って畑に撒くことで土地を肥やし……と次々と手を打つ。空腹で倒れた狼に餌をやった縁で狼になつかれ、こうしたことから村人に畏怖の念をもって接せられるようになる。

そして豊富な野菜を収穫し、信長に献上。次年度はいよいよ米つくりに取りかかる。お風呂まで作ったのは無双し過ぎ。でも入りたいよなあ現代人は。「信長協奏曲」のサブローも風呂を作ったしな。



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