鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

小説

救いのない話。「ララピポ」

奥田英朗「ララピポ」(幻冬舎文庫) ララピポ (幻冬舎文庫)作者:奥田 英朗幻冬舎Amazon単行本は2005年9月27日刊。文庫本は2008年8月7日刊。連作短編。ひとつの長編とも読める。蔵書の再読。あれ、奥田英朗ってこんな暗い、下卑た話を書く人だったっけ、と驚…

「幸福の王子」

檀上りく「幸福の王子」(小学館文庫) 幸福の王子(小学館文庫)作者:檀上りく小学館Amazon2009年4月7日刊。文庫書き下ろし。「ベストフレンド」「正義の味方」「カサブランカ・ハウス」「GO TO HELL」「水玉少女」「幸福の王子」の6編所収。主人公の年齢や…

「小袖日記」

柴田よしき「小袖日記」(文春文庫) 小袖日記 (文春文庫)作者:柴田 よしき文藝春秋Amazon単行本は2007年4月1日刊。文庫は2010年7月9日刊。恐らく新装版が2022年4月に刊行されたものと思われる。連作短編集。蔵書の再読。当時も面白く読んだ記憶があるが、「…

「朝日のようにさわやかに」

恩田陸「朝日のようにさわやかに」(新潮文庫) 朝日のようにさわやかに (新潮文庫)作者:陸, 恩田新潮社Amazon2010年5月28日刊。表題作「朝日のようにさわやかに」を含む全14編の短編集。蔵書の再読。といっても、ほとんど記憶にない。当時は買っただけで読…

「カタブツ」

沢村凛「カタブツ」(講談社文庫) カタブツ (講談社文庫)作者:沢村 凜講談社Amazon2008年7月15日刊。単行本は2004年7月刊。短編集。 「バクのみた夢」 「袋のカンガルー」 「駅で待つ人」 「とっさの場合」 「マリッジブルー・マリングレー」 「無言電話の向こう側」 所…

「女王ゲーム」

木下半太「女王ゲーム」(文春文庫) 女王ゲーム (文春文庫)作者:木下半太文藝春秋Amazon2013年12月4日刊。初出は「別冊文藝春秋」2013年1月号~9月号。蔵書にあったものを再読。こんな本を持っていたとは自分でも驚きだし、中を読んでもさっぱり覚えがなか…

「年下の男の子」

五十嵐貴久「年下の男の子」(実業之日本社文庫) 年下の男の子 (実業之日本社文庫)作者:五十嵐 貴久実業之日本社Amazon「月刊ジェイ・ノベル」2006年12月号~2007年12月号掲載。単行本は2008年5月16日刊。文庫本は2011年4月15日刊。ラブストーリー。メーカ…

「賢者の贈り物」

石持浅海「賢者の贈り物」(PHP文芸文庫) 賢者の贈り物 PHP文芸文庫作者:石持 浅海PHP研究所Amazon2011年5月18日刊。連作短編集。単行本は2008年4月刊。「金の携帯 銀の携帯」「ガラスの靴」「最も大きな掌」「可食性手紙」「賢者の贈り物」「玉手箱」「泡…

「ある閉ざされた雪の山荘で」

東野圭吾「ある閉ざされた雪の山荘で」(講談社文庫) ある閉ざされた雪の山荘で (講談社文庫)作者:東野 圭吾講談社Amazon1996年1月15日刊。単行本は1992年3月刊。映画を見て、原作を読みたいと思ったが、kindle版がなかった。改めて後日、映画館のあるショ…

「彼女との上手な別れ方」

岡本貴也「彼女との上手な別れ方」(小学館文庫) 彼女との上手な別れ方 (小学館文庫)作者:岡本貴也小学館Amazon2013年9月11日刊。単行本は2010年5月刊。蔵書から見つけた。が、作者名にも題名にも記憶なし。面白そうだと思って読み進めたが、内容にも覚えが…

「顔のない敵」

石持浅海「顔のない敵」(光文社文庫) 顔のない敵 (光文社文庫)作者:石持 浅海光文社Amazon2009年1月20日刊。デビュー作を含む連作短編集。蔵書の文庫本を読んだ。素晴らしい力作で、短編小説としての面白さを存分に味わわせてくれると同時に、戦争のむごさ…

「春にして君を離れ」

アガサ・クリスティ、中村妙子訳「春にして君を離れ」(ハヤカワ文庫) 春にして君を離れ (クリスティー文庫)作者:アガサ・クリスティー,中村 妙子早川書房Amazon英国の発表は1944年8月。中村妙子訳の初出は1973年、クリスティー文庫版は2004年4月刊。ジョー…

「#真相をお話しします」

結城真一郎「#真相をお話しします」(新潮社) #真相をお話しします作者:結城真一郎新潮社Amazon2022年6月30日刊。「惨者面談」「ヤリモク」「パンドラ」「三角奸計」「#拡散希望」所収。「#拡散希望」は2021年に日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞。…

「猫には推理がよく似合う」

深木章子「猫には推理がよく似合う」(角川書店) 猫には推理がよく似合う作者:深木 章子KADOKAWA/角川書店Amazon2016年9月2日刊。凝った手法である。最初に短いミステリーが述べられるが、謎は解決せず、全く別の物語が始まる。途中で、冒頭の物語は作中人…

「バスカビル家の犬」

ドイル原作、大沢在昌翻案「バスカビル家の犬」(講談社文庫) バスカビル家の犬 (講談社文庫)作者:大沢 在昌講談社Amazon2004年8月15日刊。本書は、痛快 世界の冒険文学24「バスカビル家の犬」(1999年、講談社)をもとに、再編集したソフトカバー版「大沢…

「終幕のない殺人」

内田康夫「終幕のない殺人」(講談社文庫) 終幕のない殺人 (講談社文庫)作者:内田 康夫講談社Amazon1987年7月、祥伝社刊。1991年2月、加筆訂正の上祥伝社文庫刊。1997年7月15日講談社文庫刊。私が読んだのは講談社文庫版で、紙の本。内田康夫は名前は覚えが…

「黒笑小説」

東野圭吾「黒笑小説」(集英社) 黒笑小説作者:東野 圭吾集英社Amazon2005年4月30日刊。東野圭吾は好きな作家で、一時期は著書を読み漁ったものだ。中でも「×笑小説」というタイトルの毒のあるユーモア短編集が大好きだったが、久々に読み返してみて、面白い…

「公開処刑人 森のくまさん ―お嬢さん、お逃げなさい―」

堀内公太郎「公開処刑人 森のくまさん ―お嬢さん、お逃げなさい―」(宝島社文庫) 公開処刑人 森のくまさん ―お嬢さん、お逃げなさい― (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)作者:堀内 公太郎宝島社Amazon2014年7月4日刊(恐らく文庫書き下ろし)。「公開処…

「殺し屋、続けてます。」

石持浅海「殺し屋、続けてます。」(文春文庫) 殺し屋、続けてます。 殺し屋が解く日常の謎 (文春文庫)作者:石持 浅海文藝春秋Amazon単行本は2019年10月刊、文庫本は2021年11月9日刊、連作短編集。七編所収。「オール読物」掲載作品。「殺し屋、やってます…

「殺し屋、やってます。」

石持浅海「殺し屋、やってます。」(文春文庫) 殺し屋、やってます。 (文春文庫)作者:石持 浅海文藝春秋Amazon単行本は2017年1月刊、文庫本は2020年1月4日刊、連作短編集。七編所収。「オール読物」掲載作品。紙の本は買わないことにしているが、本屋へ行っ…

「初恋さがし」

真梨幸子「初恋さがし」(新潮社) 初恋さがし作者:幸子, 真梨新潮社Amazon2019年5月20日刊。連作短編集。全七話。一話から六話までは小説新潮2013年~2019年に掲載、最終話は書きおろし。連作短編集というより、すべてがつながった長編とも取れる。いつもの…

「弁護士探偵物語」

法坂一広「弁護士探偵物語 天使の分け前」(宝島社) 弁護士探偵物語 天使の分け前 (『このミス』大賞シリーズ)作者:法坂 一広宝島社Amazon2012年1月24日刊。第10回「このミステリーがすごい!」大賞作品。弁護士が殺人事件に巻き込まれ、自力で真犯人にたど…

「ご用命とあらば、ゆりかごからお墓まで」

真梨幸子「ご用命とあらば、ゆりかごからお墓まで」(幻冬舎) ご用命とあらば、ゆりかごからお墓まで作者:真梨 幸子幻冬舎Amazon2018年1月25日刊。連作短編集。全八話。万両百貨店の外商部が舞台で、さまざまな顧客とのやりとりがそれぞれのエピソードにま…

「矢上教授の十二支考」

森谷明子「矢上教授の十二支考」(祥伝社) 矢上教授の「十二支考」作者:森谷 明子祥伝社Amazon2018年8月20日刊。エピローグも一話とカウントして全九話の連作短編集。とはいえ、毎回必ず事件が起き、謎が解けるというわけではなく、とても短い話もあり、面…

「老人と海」

ヘミングウエイ、小川高義「老人と海」(光文社古典新訳文庫) 老人と海 (光文社古典新訳文庫)作者:ヘミングウェイ光文社Amazon2014年9月5日刊。本作は高校生の時に福田恆存訳で読んだことがある。その時は正直退屈な話だと思い、短い話なのに読み通すのに何…

「透明人間の納屋」

島田荘司「透明人間の納屋」(講談社) 透明人間の納屋 (ミステリーランド)作者:島田 荘司講談社Amazon2003年7月31日刊。書き下ろし。「ミステリーランド」第一回配本。物語は「ヨウちゃん」の一人称で語られる。ヨウちゃんは9歳、母子家庭で兄弟はいない。…

「人生相談。」

真梨幸子「人生相談。」(講談社) 人生相談。作者:真梨 幸子講談社Amazon2014年4月14日刊。「小説現代」2013年5月号~2014年1月号掲載、単行本化にあたり大幅に加筆修正。九つの人生相談が掲示され、うち八つに回答が示されている。それを軸に展開される長…

「公開処刑人 森のくまさん」

堀内公太郎「公開処刑人 森のくまさん」(宝島社文庫) 公開処刑人 森のくまさん (宝島社文庫)作者:堀内公太郎宝島社Amazon文庫本は2012年8月18日刊。栞の代わりに、2012年7月20日付の特急券が挟んであるから、実際には7月に発売されていたのだろう。出張の…

「いつの空にも星が出ていた」

佐藤多佳子「いつの空にも星が出ていた」(講談社) いつの空にも星が出ていた作者:佐藤 多佳子講談社Amazon単行本は2020年10月27日刊。短編集。「レフトスタンド」「パレード」「ストラックアウト」「ダブルヘッダー」所収。作者は初めて聞く名前。タイトル…

「博士の愛した数式」

小川洋子「博士の愛した数式」(新潮文庫) 博士の愛した数式(新潮文庫)作者:小川洋子新潮社Amazon単行本は2003年8月29日刊。江夏の背番号が完全数だったかどうか確かめようと本書を開いたのだが、やめられなくなった。結局、最初から最後まで読んでしまっ…