鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「カタブツ」

2008年7月15日刊。単行本は2004年7月刊。短編集。 「バクのみた夢」 「袋のカンガルー」 「駅で待つ人」 「とっさの場合」 「マリッジブルー・マリングレー」 「無言電話の向こう側」 所収。

裏表紙には「ミステリー集」と書かれているが、ミステリーではないだろう。

蔵書の再読。「バクのみた夢」を読んだ時はEUREKA! と叫びそうになった。運命の人と出会った二人が紆余曲折を経て結ばれる、そんな短編があったけど、誰の、なんという話か全く覚えておらず、いつかもう一度読みたいと思ったことがあったのだ。ただし、それ以外の5編はほとんど覚えがない。

内容は多岐に亙る。 「バクのみた夢」と 「無言電話の向こう側」 はラブストーリーと言えなくもないが、全体としてはサスペンス色が強い。連作ではなく、共通する登場人物はいないが、主人公はちょっと偏ったところのなる、癖の強い人物であるという点は共通していると言えるか。「堅物」とも少し違うが。

共依存やストーカーなど、必ずしも後味のよくない作品もあるが、冒頭の「バクのみた夢」、中締めの「とっさの場合」 、ラストを飾る 「無言電話の向こう側」 は、途中はともあれ読後の印象はとてもよい。だから気持ちよく本を閉じられる。



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