鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「#真相をお話しします」

  • 結城真一郎「#真相をお話しします」(新潮社)

2022年6月30日刊。「惨者面談」「ヤリモク」「パンドラ」「三角奸計」「#拡散希望」所収。「#拡散希望」は2021年に日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞。

漫画で読んだ作品だが、「原作」は漫画用の原作ではなく、新進気鋭のミステリー作家の作品をコミカライズしたものだと知り、原作を読んでみた。

読んでみて唖然。小説を読んだ気がしない。漫画を再読しているような錯覚にとらわれた。「何も足さない、何も引かない」という言葉があるが、コミカライズに当たっては極めて忠実に漫画化されたとも言える。一方、漫画作品を先に読むと、小説を読んでいても漫画のキャラクターが思い浮かんだりするものだが、そういうこともなかった。

どうしてこういうことが起きたのかは謎。他の作品では? 小説を漫画化した作品、そして原作と漫画の双方を読んだことがあるもの、という括りでさっと思い浮かぶものがない。

ところで、漫画版の「#拡散希望」を読んで「現実にいるかどうかは別にして、いてもおかしくなさそうなところが怖い。人気YouTuberで年収が数千万とかになってしまうと、やめられないだろうし」と書いたが、ゆたぼんなどは、まさにこれに該当するのではないだろうか?