鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「変な家」

2021年7月27日。サスペンスミステリー。

ここのところ携帯にさかんに宣伝が流れて来るのは、本作を原作とする漫画作品。アプリで少し読むと面白そうだが、当然のことながらサンプルで読めるのはわずかで、課金しなければ先は読めない。買うならkindleと思ったが、Amazonには漫画がない。それで原作の小説を買うことにした。

面白い。一気呵成に読んだ。文字の本をこんなに夢中になって読んだのは久しぶりではないか。

ある一軒家の間取りに謎があるらしい。こういう時、間取りが描かれているページに指を挟んでおき、言及されるたびにそのページを開いて見るもの。電子書籍はそれがやりにくいな、と思っていたら、間取りに言及されるたびに何度も同じ絵が登場する。これは親切だと思った。

気にしなければ気にならないかも知れないけど、ほんのかすかに感じる違和感を掘り下げていったところ、かつてないほどの凶悪な犯罪にたどりつくという、壮大なミステリーである。

敢えてケチをつければ、実際に家を見に行った時に、近所の人が話しかけて来て、その家の住人についていろいろ教えてくれるくだりがあるのだが、ここだけは嘘くさい。都合よく近所の人に出会うのもそうだが、顔見知りでもないのに気軽に話しかけてくるところや、このご時世に隣人の様子をペラペラしゃべるのは現実離れしていると思った。思わず話したくなるような状況をもう少し作ってほしかったところ。「○○テレビの者です、『あの人は今』という企画で取材しているんですけど、ここって歌手の××さんのお宅ですよねえ?」と話しかけるとか。

とにかく、文章は読みやすく、また、思いもよらない方向へ展開していくさまが心地よかった。評判なのは頷ける。



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