鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「修羅の刻」11, 12, 13

十一巻は2001年11月14日刊、十二巻は2002年2月12日刊、十三巻(表)は2002年6月17日、十三巻(裏)は2002年6月14日刊。「月刊少年マガジン」2001年9月号~2002年4月号掲載。

十三巻に裏があるのは、表とは異なる結末だから。重複するページが189ページあるとのこと。なぜ裏の方が(わずか三日とはいえ)先に出版されたのか、間違いではないかと思われるが、Amazonではそう記されている。

登場人物は陸奥辰巳、狛彦、虎彦。織田信長雑賀孫一。雑賀とは面白い人物が登場したものだ。

信長が幼い頃、辰巳が相撲で信長やその手下たちを一蹴すると、信長は自分の妹の琥珀を嫁がせる。辰巳は、困った時は手を貸してやると約束。桶狭間は辰巳の、金ヶ崎は狛彦・虎彦の助力があって……という展開。

信長の前に立ちはだかる最大の敵は、銃を持たせたら戦国最強といわれる雑賀孫一。これに狛彦が無手で立ち向かう。陸奥の手を借りて雑賀衆に勝利した信長は、孫一をさらし首にする。孫一は敬うべき強者だったと思う狛彦は、信長を許せない。最後は陸奥の名を賭けて虎彦と狛彦が戦う。陸奥の名は狛彦が継ぐことになった……

狛彦と虎彦は陸奥の血を引く者だが、まだ陸奥は名乗れない。どうやら陸奥を名乗れるものは同時代に「たった一人」ということらしい。一人っ子なら、父を超えた時に。兄弟がいたら、兄弟に勝ち、自分が最強だと示せた時に。虎と狛の戦いの後、辰巳(まだ生きていたのか)から狛が陸奥の名を継ぐよう言われた。

雑賀孫一陸奥を倒すために種子島の修練に励むところは面白かったが、全体としてはまあまあ。信長伝は「信長協奏曲」「信長の忍び」をはじめ名作傑作がゾロゾロあるから、存在感を出すのは難しい。最後の数十ページだけが異なる「裏」があるというのもよくわからない。違う部分だけを十三巻に追加すればいいのではないか。虎が主人公の物語らしいが、買うのはやめておく。



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