鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「目黒さんは初めてじゃない」11(新刊)(完結)

  • 9℃「目黒さんは初めてじゃない」11(パルシィコミックス)

2024年7月20日刊。ついに完結。本作に気付いたのは単行本が何冊も出てからなので「長い付き合い」と言うのは憚られるが、それでも4年以上付き合って彼らの成長を見守って来た身としては感慨深いものがある。

シリーズ全体を通して本作は「後世に残すべき名作」だと思うが、最終巻では下記三つの点に関して大きな不満を抱いた。

ひとつは、目黒さんの家庭教師に、古賀くんが「元カレ」の財前先生を推薦したこと。目黒さんの性格が歪んだのは家庭環境も大きいけど、やはりこの初めての男がクソだったことも影響を与えていると思うからだ。財前の教師としての腕を信頼して、ということなんだろうが、そもそもマンツーマンの家庭教師は集団学習の予備校に比べ、弱点補強に効果があるのは当たり前。リスクを取ってまで財前である理由はないはず。

二つ目は、受験を前にして別れたこと。交際が受験に悪影響を及ぼすというなら、受験が終わるまで会うのはやめましょう、電話もやめましょう、でいいはず。もちろん、たとえ会わなくても、自分には彼氏がいる、と思えることと、彼氏がいないことは違う。が、そもそも男女交際と受験は相反するものなのだろうか。世の中には結婚してから大学院だとか資格試験だとかを受験する人もいるのだ。

そして三つめは、最終的に二人が肉体的に結ばれなかったこと。これは、作品の中では描かれなかっただけで、画面の外ではこれから先いくらでも体験することになるのだろうけど、それを予感させるシーンすらなかった。それがクライマックスだと思っていたから、梯子を外された感がある。

もちろん、作者としては読者がそう感じるであろうことはわかった上で、敢えてこのようなストーリーを描いたのだろう。特に三番目に関しては絶対に読者が期待しているはずで、それに応えるかどうか、いろいろと葛藤があったのかも知れないが。

いずれにしても、これでとりあえずは終わった。登場人物すべての未来に幸あれ。