鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「ナツキくんは今日もキレイ」

  • 9℃「ナツキくんは今日もキレイ」

「目黒さんは初めてじゃない」という作品はたまたま単行本を見つけるまで知らなかったし、9℃という作家も全然知らなかったのだが、目黒さん以外にも作品がいろいろあるようなので、読んでみたいと思って入手。

同じタイトルの本が、1巻から4巻まで全4巻シリーズのものと、巻数表示のないものとある。全4巻のものは、角川傘下のBOOK☆WALKERから今年の2月に4冊一気に発売されている。一冊550円と普通の単行本と変わらないが、各巻のページ数は35~45ページと短い。作者に貢ぐ気満々の人はいいだろうが、そうでなければちょっと騙された気分になるだろう。

その後、4月に一迅社より全一冊で発売される。これはBOOK☆WALKERの全4巻をまとめたものと思われる(BOOK☆WALKER版は持っていないから保証はできないが)。全4巻が同日に販売されるのも、異なる出版社からわずか2か月後に同じ本が販売されるのも異様である。そもそもこの話は、最初はtwitterやpixivで発表され、同人誌として本になったりもしたらしく、一部は商業連載もされたようなので、単行本は最終形態なのだろう。

通販では手に取ることができない上に、電子書籍の場合は返品も難しく、だからこそ、必要な情報はできる限り開示するのが販売側の務めだと思うのだが、この点は理想とはかけ離れた状況にある。改善を願ってやまない。

さて本作は、美人の小田原名月に惚れた辻史也が告ると、相手は女装が趣味の男性であり、ゲイではないとのこと。驚く史也だが、そんなことで俺の気持ちはゆるがない、とばかりに迫り続け、名月は史也を彼氏にする気はないけど、一緒にいて楽しいので飲みに行くくらいは付き合う、という関係が続く。

そうした二人の追い駆けっこが表向きの柱ではあるのだが、まあ何といっても名月の美人ぶりを鑑賞するのが一義になるだろう。そのあたりは高瀬わかの「かわいすぎる男子がお家で待っています」に共通するものがある。ハルは(一般に女性が好むような)可愛いものが好きなだけで、女装しているわけではないが。絵柄も似ている。かわいすぎる男子よりコミカルな要素が多く、爆笑というほどではないけれど、割とくすくす笑える。いろいろ思わせぶりながら、あっさり終わるところも好印象だ(もっとも、続編があるかも知れないが)。



漫画・コミックランキング