鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「アオイホノオ」23

半年ぶりの新刊。もう23冊になるのか。島本和彦の作品で単行本が20巻を超えるものはないのではないかなあ。本作をどのくらいまで続けるつもりかわからないが、脂が乗ってますます好調であり、内容はまだ主人公が学生であることを考えると、当分は続くのだろう。これは一人の若者が成長し出世していく立身出世物語というより、当時の文化あるいはサブカルチャーの歴史の証言であり、詳しい解説にもなっている。漫画史的にも、本作はずっと続けてほしい。

本巻では主に「うる星やつら」の初の劇場版である「オンリー・ユー」について語られる。また、尾東君子とイチャコラする様子もかなり細かく描かれる。

ところで、漫画版「うる星やつら」の第一話はラムとあたるの鬼ごっこの話である。「アオイホノオ」23巻を読んで初めて気付いたのだが、あたるに投げ飛ばされたラムがおっぱいをさらけ出すシーンがある! あたるがラムのブラジャーを取ってしまい、怒ったラムが必死で取り返そうとする……のはもちろん忘れられないが、ラムは胸を必死で隠していて、はっきりと見えたことはないと思っていた。

ラムはご存知の通り、一貫して面積の小さい水着姿であり、相当にセクシーである。一本木蛮に始まり現在に至るまでラムのコスプレをする人はあとを絶たないが、生身の人間がラムの格好をすると、セクシーを通り越してエロい。高橋留美子の作品には、「勝手なやつら」の弁天様、「めぞん一刻」の朱美さんなど、惜しげもなく肌を露出する女性キャラがたくさん登場するが、しかし局部をモロに描いたことはなかったはずだ……。

と思って、慌てて「うる星やつら」の一巻を確認したが、確かにラムの乳首が描かれている。知らなかったよ。

ところで肝心の焔燃(ほのお・もゆる)だが、彼が劣等感の塊で、人気作家のあだち充高橋留美子に対して上から目線で語ったり卑屈になったりするところが本作の面白さでもあるのだが、まだ学生なのに、月刊連載を持ち、さらに短期とはいえ原作なしの週刊連載もこなしているわけで、既に相当なところにいると思う。焔よ、もう少し自信を持っていいぞ! それに尾東さんにはちゃんと告白した方がいいぞ!


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(2020/6/18 記)